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「人手不足倒産しないために!」新時代の採用と人事を知る5冊【連載:読むべき優良ビジネス書】

2019.10.08

仕事に役立つ本を読みたいと思い、話題の本に手を出してみても今ひとつしっくりこない。ビジネス書を読んでも仕事に活かせる手ごたえがない。

そんなスモールビジネスパーソンのために、年間300冊のビジネス書を読破するプロ書評家・坂本海氏にお薦めのビジネス書を紹介してもらう連載企画。毎回のテーマに沿ってビジネス書から得られるヒントを基にスモールビジネスを考えていくことで、本から得られる学びをお伝えしていきます。

今回のテーマは「採用と人事」。大企業から中小企業まで、今最も課題となっている採用と人材のマネジメントについて、スモールビジネスの視点から考えます。

人が採用できずに倒産する時代の生き残り術

ニュースで「人手不足倒産」という言葉を聞くことが多くなりました。社員やアルバイトを確保できずに、業務が回らなかったり、仕事を受注できなかったりすることを原因に倒産する企業が増えています。東京商工リサーチの調べによれば、2018年度の人手不足関連の倒産は400件にのぼり、増加傾向にあるようです。年間の倒産件数が8,235件であることから、倒産の5%弱が人手不足に起因していることになります。

大企業から中小企業まで、今最も課題となっていることが、労働力の確保です。少子高齢化に伴って、労働力人口が減少しているうえに、働き方改革などによって1人当たりの労働時間も減っており、人の増員が必要になっています。

『知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書』  中小・ベンチャー企業向けに経営コンサルティングを行なっている著者が、経営者からの「人が採用できない」という多数の悩みに対して、課題解決の手法として提案している「リファラル採用」の仕組みを紹介している。※画像をクリックするとamazon.co.jpへ移動します

社会全体として人手不足になっているため、採用する側の競争環境は熾烈です。かつては求人広告を出せば、人を採用することができました。しかし、今は求人広告を出しても採用することができない企業が増えています。有料で求人広告を出しても人が採れない状況であるため、当然ながらハローワークで採用することも困難です。

そこで注目されているのが「リファラル採用」です。『知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書』(KADOKAWA)では、リファラル採用を「社員の紹介・推薦による採用活動」と定義しています。

これは昔からある縁故採用を、全社員を対象とした制度として仕組み化するもの。具体的には、社長だけがリクルーターになるのではなく、社員にも知人・友人を紹介してもらおうというものです。参考になったポイントをいくつか紹介します。

  • 社員の友人・知人などの「2次人脈」を洗い出す
  • 会社の魅力を伝える資料「アピールブック」を準備する
  • 嘘をつかず、会社の課題も伝える

リファラル採用のしくみを構築するための方法が具体的に紹介されていますので、取り入れられる要素は参考にしてみてはどうでしょうか。

アルバイト採用にも戦略が必要だ

人が採用できないのは、アルバイトでも変わりありません。アルバイト採用においても、求人広告を出しても人が集まらないという状況が起きています。

『パート・アルバイトの応募が殺到! 神採用メソッド』 「fromA」「fromA navi」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」など、リクルートの主要求人媒体の編集長だった著者が、アルバイト採用の効果的な手法を紹介している。※画像をクリックするとamazon.co.jpへ移動します

アルバイト採用の効果を高めるため、単純に「時給を上げる」といった対応では、既存のアルバイトの時給も上げることにつながり、人件費全体が上がってしまいます。実はアルバイト採用において、時給を上げる以外にも工夫の余地はたくさんあります。

その細かいテクニックを教えてくれるのが『パート・アルバイトの応募が殺到! 神採用メソッド』(かんき出版)です。例えば、以下のようなものです。

  • 店頭に募集の貼り紙を出す
  • 近所の家のポストにチラシを配る
  • 学生が働きやすい環境を整え、学生アルバイトの後輩を紹介してもらう
  • TwitterなどのSNSで募集する
  • 履歴書不要にして応募のハードルを下げる
  • 「まかない」を推す

これまでと同じようにアルバイト採用をしていると、意外と気付かないポイントが含まれていませんか。本書には、コストをかけずに、簡単に使える30のテクニックが紹介されています。お金がないなら、知恵を絞るしかありません。中小企業やスモールビジネスでは、あらゆる業務において戦略が必要です。

離職者を減らすためのマネジメント手法

労働力を確保するためには、採用に力を入れるだけでなく、離職率を減らす必要があります。特にスモールビジネスにとっては、少数精鋭で業務を行っている場合が多く、従業員の離職は大きな問題になります。

近年、従業員のモチベーションを高め、組織を活性化させる手法として、多くの企業で取り入れられているのが「1on1ミーティング」です。

『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』 シリコンバレーでは当たり前になっている部下のマネジメント手法「1on1ミーティング」の導入方法を具体的に紹介している。具体的な手順やノウハウが書かれているため、マニュアルとして使うことができる。※画像をクリックするとamazon.co.jpへ移動します

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で、週に1回、30分〜1時間程度必ずミーティングを行う方法です。こう聞くと、たったそれだけのことかと思いますが、日本企業においては上司と部下のコミュニケーションが足りていない場合がほとんどです。

かつては、会社の決起会や歓送迎会、飲み会などが上司と部下のコミュニケーションを担っていることが多かったものの、今はそうした文化も少なくなっています。だからこそ、人事制度として、上司と部下が定期的にコミュニケーションをとる場を会社が設定する必要があるのです。

『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』(かんき出版)では、1on1ミーティングの注意点として「1on1ミーティングを部下のための時間とする」ことをあげています。上司が部下に一方的に話をするのではなく、上司は部下の話を聞くといった方法です。

1on1ミーティングで話し合うテーマとして7つがあげられています。

  1. プライベート相互理解
  2. 心身の健康チェック
  3. モチベーションアップ
  4. 業務・組織課題の改善
  5. 目標設定/評価
  6. 能力開発/キャリア支援
  7. 戦略・方針の伝達

上司は、部下の話を頻繁に聞くことで部下を知り、日ごろ何か課題や悩みを抱えているのであれば、それを手助けする機会を得ます。こうしたコミュニケーションは、部下の予期せぬ退職を防止する効果があります。

スモールビジネスの現場であれば、上司と部下の距離は近いかもしれません。しかし、日ごろからコミュニケーションが不足していたり、本当に従業員のことが理解できているのかと不安を感じたりする場合には、こうした手法を取り入れることが大切です。

人事のトレンドは「Google式」

1on1ミーティングと並んで、人事で注目を集めているのが「OKR」というマネジメント手法です。OKRは、もともとインテルで始まった仕組みで、これまでにGoogleやリンクトインなどが導入し、日本ではヤフーが導入したことで注目を集めています。

『OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』 Googleで導入されているOKRの仕組みをわかりやすく紹介している。前半は物語形式、後半にノウハウや具体的な運営方法が書かれており、OKRの入門書として使える。※画像をクリックするとamazon.co.jpへ移動します
『Measure What Matters(メジャー・ホワット・マターズ) 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』 インテルCEOのアンディ・グローブによって発明されたOKRを、グーグルに導入した投資家が、その要諦を解説している。※画像をクリックするとamazon.co.jpへ移動します

OKRは、Objectives and Key Resultsの略で、目標の「O」(Objectives)と主な結果の「KR」(Key Results)を設定する仕組みのこと。大きな目標「O」と具体的な数値目標「KR」を組み合わせることで、目先の数字に振り回されず、やる気が出て、生産性が上がるという目標評価の手法です。

1on1ミーティングで話し合うテーマの1つに目標設定/評価という項目がありました。部下が評価に納得感を得られるように、日ごろから接触頻度を増やして、目標へのフィードバックや承認を行うことが、部下のモチベーションを高め、パフォーマンスを発揮させることにつながります。

この目標設定/評価に使えるのがOKRで、1on1ミーティングとあわせて使うと効果的です。スモールビジネスにおいて、巨大企業であるGoogleが導入しているような手法が使えるのか?という疑問があるかもしれませんが、この手法は従業員が数名規模の会社でも使うことができます。

規模の程度は異なっても、ビジネスには必ずミッションや目指す世界観があるはずです。ビジネスの目標を「O」に設定し、それを実現するために必要な数値目標を「KR」に設定する。そのうえで、進捗を追い、責任を明確にする。シンプルに考えれば、それだけです。

スモールビジネスの多くは、きちんとした目標/評価制度を持っていないところも多いと思います。しかし、定期的に業務を見直し、目標へ向けて従業員をマネジメントするのは、ビジネスを進めるうえで非常に大切なこと。シンプルなOKRであるからこそ、小規模の企業においても導入することが容易です。

事業は人なり

規模の大小にかかわらず、ビジネスは「人」がすべてです。スモールビジネスであれば、1人1人のパフォーマンスがより大きな影響を及ぼします。従業員が少ないという理由だけで、採用や人事評価、マネジメントの手法を何も考えないというのは、ビジネスをきちんと考えていないのと同じです。

日本では、今後も人手不足はますます深刻になると予測されます。だからこそ、企業の多くは採用手法やマネジメント手法の見直し、働き方改革などで従業員のパフォーマンスをより高める施策に注力しています。

こうした世の中の流れを受けて、採用や人事に関する優良なビジネス書が多く出版されています。ぜひ、参考にしてみてください。

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この記事の著者

坂本 海

兵庫県出身。大学卒業後、半導体商社を経て、SBIインベストメントでベンチャー投資の審査や経営支援に従事。現在はスタートアップ企業において事業戦略・ファイナンスを担当。書評・要約サイト「ブックビネガー」編集長。ビジネス書読書会「朝・カフェで読書会」主宰。2019年5月 ぱる出版社より「神・読書術」を上梓

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