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ハローワーク求人票で反応率アップ!「情報量」と「応募者目線」の重要性

2025.07.17

著者:弥報編集部

監修者:五十川 将史

同じ職種のハローワーク求人票でも、数ある中から求職者に注目され、反応・応募につながるものもあれば、目に留まらずに見過ごされてしまうものもあります。一体何が違うのでしょうか?

もちろん、賃金が非常に高いなど求職者の関心を引く特定の情報によって、すぐに反応が得られる場合もあります。しかし、求人検索の初期段階で見過ごされず、反応につながる求人票には、共通する条件が備わっています。

今回は、ハローワークを活用した採用支援を専門とするウエルズ社会保険労務士事務所 代表の五十川将史さんに「ハローワークに掲載される求人票」を前提として、反応・応募につながる条件や要因について、求職者の心理も踏まえながら、人が集まる求人票のポイントを解説いただきました。


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「理想イメージ」を満たす求人票が応募を引き寄せる

求職者は、求人検索において常に「良い求人はないかな?」という期待感を持ちながら求人票を見ています。この期待感は、求職者が無意識のうちに抱いている「理想の求人票イメージ」ともいえます。

その期待を満たす求人票があれば、自然と目に留まり「少し読んでみよう」と行動につながっていきます。これこそが求人票に対する反応、さらには応募への第一歩となるのです。

求人票に対する反応や応募が得られるかどうかは、もちろん内容が充実していることが前提です。しかし、それ以前の問題として、最初の求人検索の段階で見過ごされることなく求職者の目に留まり、興味を引く存在である必要があります。そのためには、求職者が無意識に求めている「期待イメージ」を満たす条件を備えていることが、何よりも重要なポイントとなります。

第一印象で差がつく!求人票の「情報量」と「目線」

一般的に、多くの求職者は求人検索にあたって、最初から求人票のすべての項目を丁寧に読み込むわけではありません。まずは求人票全体にざっと目を通し、雰囲気を直観的にイメージとして捉える傾向があります。このプロセスは時間をかけて意識的に行うものではなく、全体をさっと見渡して直感的に感じ取る、いわば「求人票の第一印象」のようなものと考えられます。この第一印象に大きく影響すると考えられる基本的な要因には、「情報量」と「情報の目線」があります。

1.情報量

求人票の第一印象を形成する要因の1つが「情報量」です。求人票の中には「仕事内容」欄や「求人に関する特記事項」欄に空欄が多く、内容がほとんど記載されていないものがあります。これらの欄は、求人票の中でも特に求職者が重視する項目であり、前者は360文字、後者は600文字まで記載可能です。その重要性を踏まえずに、簡単な表現だけで済ませてしまい、結果として空欄ばかりが目立っているケースが見受けられます。

情報量、すなわち記載の分量は、多ければ良いというわけではありませんが、少なくとも求職者の目に留めてもらうためには内容の良し悪し以前に、記載スペースの7~8割程度は埋めておく必要があります。

企業としても、少しでも自社に目を向けてもらうために、自社の魅力や幅広い情報を盛り込もうとするはずです。そうした姿勢を前提にすれば、求職者にとって情報量は、求人企業の「人材募集に対する熱意や本気度」を測る物差しのようなものとなり、第一印象に大きく影響していると考えられます。

2.情報の目線

情報内容が「どの目線で書かれているのか」も第一印象を左右する大きな要素です。求職者は、求人検索の段階で求人票にさっと目を通した際、その情報が「自分に向けられているか」を直感的に感じ取ります。求人企業の会社案内のように、取引先向けのアピールや、仕事内容の一般的な全体像、求める人物像といった内容が書かれていることもありますが、これらは「企業目線」による一方的な情報発信となりやすく、求職者が期待する求人票のイメージを十分に満たすものとはいえません。

一方で、求職者の立場に立ち「こんな会社で働きたい」と思えるような会社情報や、入社後の具体的な仕事の内容、この仕事で活かせる経験や能力などが記載されていれば、求職者は情報を自分に重ねて読み取ることができ、第一印象も格段に良くなります。

求職者の心を動かす「仕事内容」の書き方

求職者が求人票でどの情報を重視しているかについては、さまざまな調査がありますが、最近の例ではハローワーク品川による「求職者アンケート調査結果(令和4年8月)」が参考になります。これによると、求職者が求人票で最も重視している項目は「仕事内容」(41.1%)であり、次いで「職種」(24.9%)となっています。職種名が同じであっても、求人企業によって仕事内容は異なるため、求職者は職種名以上に、具体的な仕事内容を重視していることがわかります。

しかし、仕事内容欄に「○○業務全般」や「やりがいのある仕事です」といった抽象的な表現だけが記載されていたり、スペースが十分にあるにもかかわらず「詳細は面接時に説明します」と記載されていたりすると、求職者が期待する求人票のイメージを満たすことはできません。求職者が仕事内容欄にさっと目を通したとき、「自分がやりたいと思っていた仕事か」「自分にもできそうな仕事か」「自分がその職種で働く姿をイメージできるか」といった印象を持てる内容になっているかが、応募につながるかどうかの大きなポイントになります。

 

〈職種名/仕事内容の記載例〉

転職メリットが見える求人票が応募の決め手に

転職を希望している求職者は、現在の仕事における労働条件や働き方、将来に対する不安など、なんらかの課題や不満を抱えており、それらを解決・改善する手段として転職を考えています。求職者は求人検索を通じて、「自分の抱える課題や不安が、この転職によって解決できるのではないか」という期待を持ちながら、求人票に目を通しているのです。

求人企業の多くは、求人票の中で自社の強みや特長をアピールしていますが、情報が散在していたり内容が抽象的であったりすることで、求職者にとっては一読しただけでは転職理由の解決につながる情報として、受け取りにくいケースも少なくありません。

このような求職者心理を踏まえた求人票を作成するうえで欠かせないステップは、第一に「どのような理由で転職を考えている人か」という転職理由に基づいたターゲット像を想定することです。

そして第二に、想定したターゲットが抱える転職理由に対して、「自社でどのように解決・改善できるのか」を明確にすることが重要となります。求職者が期待する求人票のイメージとは、求人検索の際に求人票へさっと目を通しただけでも、「この会社に転職することで自分の課題が解決できそうだ」「ここで働くことにメリットがありそうだ」と感じられる情報が読み取れることです。求職者にとっての転職メリットを、求人票の中でアピールポイントとして明確に発信することが、求人票への反応や応募へとつながる大きなきっかけになります。

 

〈求人に関する特記事項の記載例〉

 

〈会社情報の記載例〉

求職者の期待に応える求人票こそ、採用成功のカギ

求人票は、ただの情報の羅列ではなく、求職者にとって「新しい職場との出会いの入口」です。

求職者は、転職理由や課題を解決したいという期待を持ちながら求人票を見ています。だからこそ企業は、求職者が無意識に求める期待イメージに応え、第一印象で興味を引き、仕事内容や転職メリットが具体的に伝わる内容にする必要があります。

求職者目線に立ち、必要な情報を十分かつわかりやすく届けること。それこそが応募につながり、採用成功の第一歩となるでしょう。


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この記事の著者

弥報編集部

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この記事の監修者

五十川 将史(ウエルズ社会保険労務士事務所 代表)

1977年、岐阜県生まれ。明治大学卒。大手食品スーパーの店長や民間企業での人事担当者、ハローワーク勤務を経て、独立。ハローワークを活用した採用支援を専門としている。商工会議所、労働局、社会保険労務士会などでの講演実績も多数あり、これまでの受講者は1万人を超える。著書に『中小企業のためのハローワーク採用完全マニュアル』(日本実業出版社)、『ハローワーク採用の絶対法則』(誠文堂新光社)などがある。

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