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SDGsへの取り組みで2,000万円借りられる?「SDGsファイナンス」を活用しよう【教えて吉田先生!】
2022.12.13
SDGsは「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goalsのことで、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標)現在、世界中の国々、企業、人々が多くの課題を解決しようとSDGsに取り組んでいます。
企業がSDGsに取り組むことは、社会全体の問題に貢献する企業として社会的な評価を高める効果も期待できます。結果として、売上アップにつながるケースもあるでしょう。現在、日本政策金融公庫などの政府系金融機関や各自治体や信用保証制度、その他補助金においてもSDGsに積極的に取り組む事業者への支援に力を入れています。今回は、SDGsへの取り組みを実現させる企業活動を支援する融資、保証、補助金、私募債などのファイナンスについて、財務・資金調達コンサルタントの吉田 学先生に詳しく解説していただきました。
※本記事は2022年11月18日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。
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執筆者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
吉田学ブログ「融資・資金調達支援を武器にして法人顧問を獲得しよう!」
目次
SDGsファイナンス・融資とは何ですか?
SDGsを実現しようと活動している企業を、ファイナンス(資金)の面からバックアップしようとするのが「SDGsファイナンス」です。
事業者の中には、規模の大小に関わらずSDGsに取り組み、目標を掲げている事業者もいますし、SDGsに即した事業を立ち上げている事業者もいます。そういった事業者を資金面で官民の金融機関などが支えているのです。ファイナンスの方法としては、融資や信用保証、補助金、私募債などがあります。
なお「SDGsファイナンス」という表現は通称であって、同類の表現として「ESG」「カーボンニュートラル」「サステナブル、サスティナビリティ」という表現を使っている場合があります。ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」のことを意味します。カーボンニュートラルとは「温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という意味です。サステナブル、サスティナビリティとは「持続可能な、持続可能性」という意味です。
公的機関が実施しているSDGsファイナンスはあるのでしょうか?
公的機関が実施しているSDGsファイナンスの公的制度としては「融資」「補助金」「私募債」などがあります。2022年11月時点で、日本政策金融公庫においては「SDGs資金」というような名称の制度はありませんが「ソーシャルビジネス支援資金」という制度もあり、こちらもSDGsに資する融資制度の一つと考えられるでしょう。
また、自治体制度融資や信用保証協会などにおいても「SDGs融資/保証」という名称の制度を実施しているところもあります。まずは取引先の金融機関や信用保証協会、または地元自治体のホームページなどでご確認ください。
続いて、補助金についてみていきましょう。2022年11月現在、中小企業庁などが全国の事業者向けに実施している「SDGs補助金」などの制度はありませんが、実施されている補助金制度の中には、「SDGs」を達成しようとしている事業者に加点したり、またSDGsに関連するような審査基準を設けている制度もあります。また、環境省などではSDGsに関連する補助制度などを展開中です。自治体レベルでは、制度名称に「SDGs●●補助金」というような、わかりやすい補助金制度も存在します。厚生労働省にもSDGsに資するような助成金制度がありますので、厚生労働省のホームページを確認したり、社会保険労務士などに相談してみてください。
なお、弥生の情報サイト「資金調達ナビ」などでも、補助金を調べることができます。
次に私募債についてですが、信用保証協会が実施されている「特定社債保証制度」には通常型以外にも「SDGs型」があります。利用するためには申請手続きなどのハードルが高いことが予測されますが、要件に合致する事業者は検討してみてください。詳細については、取引先金融機関および、地元信用保証協会などに確認する必要があります。
(参考)
特定社債保証(通常型/SDGs貢献型)|愛知県信用保証協会
民間金融機関などでも実施していますか?
民間金融機関などは、独自の「融資」「私募債」などを実施しています。都市銀行や地方銀行などが積極的に展開していますが、近年においては、徐々に信用金庫などの地域金融機関も実施するようになってきました。
なお大手金融機関の場合は、外部やグループ企業などによるSDGs評価を行い、その結果に基づいて支援するスキームが多くなっています。また、融資実行額や社債発行額0.1%相当額を、地方公共団体やSDGs推進につながる事業者に対して寄付をするというスキーム(寄付型)にて、実施されているケースも少なくありません。
中小事業者はSDGs融資で、どれくらいの金額の融資を受けることができるのですか?
一つの参考となるのは、日本政策金融公庫のソーシャルビジネス支援資金です。限度額は7,200万円となっていますが、中小企業の場合、実際のところは2,000万円以下が現実的でしょう。
また自治体制度融資や地方銀行などの、民間金融機関が独自に実施している中小企業向けのSDGs関連の融資に関しては、2,000~3,000万円が現実的と考えてください。企業規模によっては1億円以上の融資も可能となっています。
SDGsファイナンスを利用したい場合はどうすればよいでしょうか?
SDGsファイナンスを利用したい場合は、まずは日本政策金融公庫や顧問税理士に相談してみてください。
中でも、最初に検討をおすすめしたいものとして、日本政策金融公庫の「ソーシャルビジネス支援資金」があります。SDGsファイナンスの利用を検討するなら、まずはこの利用可能性について検討してみてください。
次に、地元自治体の制度融資と信用保証協会にSDGs関連の制度があるかどうか、確認してみましょう。融資を行うのは民間金融機関になりますので、取引先の金融機関に「御行のSDGsへの取り組みはどうですか?」「SDGs関連の融資などを実施していますか?」と聞いてみるのも一案です。その際には、自社のSDGsの取り組みについても説明するようにしてください。
補助金については、検索サイトなどを利用しながら、自社が利用できる制度がないか確認しましょう。
最後に、私募債の利用を検討する場合は、顧問税理士などに相談しながら今後の利用可能性などを検討することをおすすめします。
「当社のような小規模事業者が、SDGs関連のファイナンスを利用するなんて無理だ」と決めつけず、顧問税理士や専門家などに相談をしながら、常に情報収集を心がけてください。取引先金融機関などに対して、常に話題として取り上げて関心があることを示すことも重要です。前向きにトライしてみてくださいね。また以下参考記事も、よろしければ参考にしてください。
(参考)
スモビバ!『小規模事業者に「SDGs」って関係あるの?マンガでわかるスモールビジネス用語』
弥報Online『SDGsが売上アップにつながる?!実施メリットや実践方法とは』
※本記事は2022年11月18日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。
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