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補助率アップ+高い採択率!事業再構築補助金の新設枠「回復・再生応援枠」について【教えて吉田先生!】
2022.09.27
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響により業績悪化した企業が、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編など思いきった事業再構築を実施する際にその支援をするための補助金です。この事業再構築補助金の第6回公募(2022年6月31日終了)より、「回復・再生応援枠」が追加されました。この枠では広告宣伝や備品導入なども支給対象となります。
第5回公募までは、採択率の高い「緊急事態宣言特別枠」が実施されていましたが、第6回公募から廃止されています。その代わりに創設されたのが「回復・再生応援枠」です。緊急事態宣言特別枠との違いは、緊急事態宣言の影響を受けていることが必須ではなくなり、再生計画も策定中・策定済みであっても申請できる点です。
要件は緊急事態宣言特別枠と比べると緩和されていますし、この回復・再生応援枠は、一度不採択になっても通常枠で再審査を受けることができます。つまり、2回チャンスがあるということです。
今回は、この「事業再構築補助金の回復・再生応援枠」の具体的な内容や、申請方法について財務・資金調達コンサルタントの吉田学先生に伺いました。
※本記事は2022年9月2日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。
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執筆者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
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目次
そもそも「事業再構築補助金」とは何ですか?
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業などが新分野への展開や業態転換など、思い切った事業再構築に挑戦するのを支援する補助金です。
事業再構築補助金の通常枠は「(特定期間の)売上が減っている」「新分野展開や事業再編などに取り組む」「支援機関と事業計画を策定する」ことを条件に申請できます。通常枠の他にも、大規模賃金引上枠や最低賃金枠、グリーン成長枠、原油価格・物価高騰等緊急対策枠、回復・再生応援枠といった特別枠が存在します。今回は特別枠のうちの1つである「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」について解説します。
「回復・再生応援枠」とはどのようなものですか?
「回復・再生応援枠」とは、長引く新型コロナウイルスの影響のもと、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を対象とした、新たな申請枠になります。通常、本補助金においては「主要な設備の変更」が求められますが、「回復・再生応援枠」においては主要設備の変更は求められません。小規模・中小事業者においては、とてもありがたい枠といえるでしょう。
「回復・再生応援枠」で不採択になった場合は、通常枠で再審査されます。通常枠は、新分野展開や事業転換、事業再編またはこれらの取り組みを通じた事業規模拡大を目指す中小企業に対する補助金です。通常枠での再審査となった場合も、新たに手続きを行う必要ありません。
「回復・再生応援枠」申請の具体的な要件を教えてください。
主に以下の5つの要件があります。
- 事業再構築要件
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること - 売上高等減少要件
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、新型コロナウイルス以前(2019年または2020年1~3月)の、同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していることなど - 回復・再生要件
以下の(ア)または(イ)のいずれかの要件を満たすこと
(ア)2021年10月以降のいずれかの月の売上高が、対2020年または2019年同月比で30%以上減少していることなど
(イ)中小企業活性化協議会等から支援を受け再生計画等を策定していること - 認定支援機関要件
事業計画を認定経営革新等支援機関と策定していること - 付加価値額要件
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
1の事業再構築指針については、以下の資料をご参照ください。特に「手引き」はわかりやすく解説してくれています。
(事業再構築指針)
事業再構築指針(pdf)|事業再構築補助金サイト
(事業再構築指針の手引き)
事業再構築指針の手引き(pdf)|事業再構築補助金サイト
なお2および3(ア)に関しては、売上高に代えて付加価値額を用いることも可能です。付加価値額とは「営業利益」「人件費」「減価償却費」を足したものをいいます。詳細は公募要領などで確認してください。
どれくらいの額の補助を受けることができる?
補助上限額および補助率(実際に必要となった費用のうち補助を受けられる割合)は、以下の通りです。
従業員数によって補助額は異なりますが、補助率に関して中小企業は3/4と優遇されています。
申請した場合、どのくらいの確率で採択されるのですか?
現時点(2022年9月上旬時点)においては、第6回公募における「回復・再生応援枠」の採択率については公表されておりませんが、第5回公募まで実施されてきた「緊急事態宣言特別枠」の採択率が参考になると思われます。
第5回「緊急事態宣言特別枠」の公募については、4,509件の応募に対して3,006件が採択されました。採択率66.7%です。第1回より平均して66~67%の採択率となっています。通常枠が40%弱ですので、高採択率だといえるでしょう。小規模・中小事業者にとっては、絶好の機会だといえます。
自分で事業計画書などを作成し、申請することは可能でしょうか?
事業再構築補助金は、多くの申請書類が必要になります。指定の申請書(事業計画書など)の他、多くの申請書類を提出(電子申請)しなければならないので、事業者が自らすべてを行うのは非常に困難だと思われます。
また、本補助金は「事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組むこと」という要件もあります。
よって、まずは顧問税理士または取引先の金融機関などに相談してみましょう。それが難しい場合は、最寄りの「認定経営革新等支援機関」を検索して相談してみてください。
具体的な申請の流れについて教えてください。また、今後の公募のスケジュールはどうなっていますか?
事業再構築補助金は電子申請のみの対応となっています。主な流れは以下の通りです。
- 事業再構築補助金サイトの電子申請システムにGビズIDプライムでログインします。 ※「GビズIDプライム」を取得されていない方は事前に取得してください。発行に時間を要する場合がありますので、早めにIDを取得してください。
※電子申請は事業再構築補助金事務局HPよりログインできます。 - 電子申請システムにて申請を開始し、申請内容を入力します。
- 応募申請者の概要、事業実施場所、事業内容、実績、経費・資金調達内訳、加点項目などを入力後、必要書類(電子ファイル)の添付を行います。
- 申請内容を送信します。
「申請」ボタンをクリックし、申請内容を送信します。
次に第7回の公募スケジュールは以下の通りです。
- 公募開始:2022年7月1日(金)
- 応募締切:2022年9月30日(金)18:00
その後の公募については、事業再構築補助金事務局HPにて公表されますので、ご確認ください。
(参考)
事業再構築補助金事務局HP
※本記事は2022年9月2日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。
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