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求職者の心をグッとつかむ!求人票を書く際のポイントを船井総研コンサルタントに聞いた

2022.02.08

著者:弥報編集部

監修者:山中 章裕

新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んでいた有効求人倍率も上昇しつつあり、多くの中小企業にとって採用は引き続き悩みの種となっています。採用で他社と差をつけるために今すぐできるのが、求人票を見直すこと。

今回は株式会社船井総合研究所の山中 章裕さんに、ハローワークなどに提出する求人票の書き方や注意点について伺いました。

最近の採用では、Indeedをはじめとする検索媒体の利用も欠かせません。なるべくコストをかけずに、検索媒体を最大限に活用する方法も必見です!

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有効求人倍率は上昇傾向。採用で勝つための戦略が必須に

最近の転職市場の現況について教えてください。

基本的な指標となるのが、厚生労働省が出している一般職業紹介状況における有効求人倍率ですが、新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいて、2021年12月に発表されたデータでは1.1~1.2倍を推移しています。ただし、2020年と比べるとかなりの業界で上昇傾向にあるため、採用は難しくなってきていると言えるのではないでしょうか。昨年より求人倍率が落ちているのは、金融業界くらいのものです。

※参照
一般職業紹介状況(令和3年11月分)|厚生労働省

ハローワークで採用が決まるケースは増えていますか?最新データでは200万人以上の就職実績が確認できます。

ハローワークだけでいうと、私たちのクライアントでは少ないですね。求職者に求めるレベルによって向き・不向きがあり、専門的な技術や資格を必要とする仕事だと、ハローワークはあまり使われません。それ以外のケースではハローワークも利用されてはいるんですが、逆にいうとそういう人はどの業界にも応募できるため、その分競争は激しくなるのではないでしょうか。ハローワーク1つに絞らず、ある程度窓口を広げないと人材は集まってこないと思います。

求める条件は最低限で。中小企業は「働き方」をアピール

求職者は求人票のどこを重視するのでしょうか。新型コロナウイルスの流行を受けての変化はありますか?

最も見られるのは、やはり「給与・休日・勤務時間」という条件面です。同じような仕事なら給料と休みは多いほうがいいですし、労働時間は少ないほうがよいでしょう。他の会社と比べたときにこのあたりが見劣りすると、当然応募は集まりにくくなります。

でも、条件面はそう簡単には変えられないですよね。ではどうすればよいかというと、働き方を緩和することをおすすめします。フルタイムからフレックスタイム制への変更や、リモート勤務を認めるといった施策です。特にリモート勤務は、新型コロナウイルスの流行を経て求職者が重視するようになりました。そしてリモート勤務をOKにすると、全国から応募が来ますよ。北海道の会社が山梨の人を採用するだとか、そういうことが普通に起きています。

人が集まる求人票を書くためのポイントは何でしょう。

大前提として、どんな人を採用したいのか、ターゲットをきちんとイメージしておくことです。例えば主婦の人に来てもらいたいと思ったら、子育てしながらでも働ける勤務時間にするとか、リモート勤務を認めるようにします。最近は新型コロナウイルスで飲食業界から離職する人も増えていますが、そういう人に向けて「飲食出身・未経験で働いている先輩がいる」と事例を示すのもよいでしょう。

求人票を書くときにやってはいけないことや、注意点を教えてください。

求職者に求める条件を、最初にすべて書いてしまうのは避けましょう。他社との競争が激しくなる中でそれをやると、ハードルを上げて応募者を少なくするだけです。求人票の段階ではどうしてもという点だけに絞り、残りは面接で確認するようにします。

注意したいのは、文字数を多く記載できる項目をムダにしないこと。仕事内容・特記事項を「電話対応」「事務作業」のように、箇条書きにしてしまっている求人票がとても多いんです。どこからどういう電話がかかってくるのかなど、実際の勤務イメージが沸く表現を工夫しましょう。「幅広い年齢層の社員がいる」「主婦も活躍している」といった会社の特色も、忘れずにアピールしてください。会社の良さは、働き続けている今の社員がよくわかっています。社内にヒアリングしてみたら、意外とたくさんのセールスポイントが見つかるはずですよ。

求人票に掲載する写真は、どういうものを選べばよいですか?

私たちが支援しているリサイクルショップの例をご紹介しますと、店舗の外観を載せてもあまり意味がないんですね。どういう場所でどんな人が働いているのかを、きちんとイメージできる写真を選びます。このお店の場合はブランド品のリサイクルショップなので、高級感を演出するべくプロのカメラマンに依頼しました。フリー画像を使うと、他の会社の同じものになって信憑性を損なうことがあるため、写真は極力自前で用意してください。

写真には実際に働いている人を写すのがベストですが、難しいときはモデルに来てもらうという手もあります。ベテランの多い会社で若手を採用したいといったケースでも、ターゲットの年代に合わせたモデルに頼むとよいでしょう。金額は1日数万円と、それほどはかかりません。

中小企業が求人票を書くときに気を付けるべきことは何でしょうか。

中小企業はどうしても、条件面では大手に勝てません。魅力の打ち出しをそちらには寄せず、フレックスタイム制やリモート勤務などの働き方にフォーカスするのが大事です。一方で、決めごとが少ないのは中小企業ならではのメリットと言えます。実績さえ出せばすぐに昇進できる・裁量が増えるなど、キャリアアップが早いことをアピールするのもよいでしょう。

キャリアの面では、最初の待遇だけでなく〇年目でいくらといったモデル賃金も書くようにしてください。最初は少なく見えても活躍しだいで上がっていくとわかれば、求職者の安心感につながります。

ハローワークの求人票で他社に差をつけるコツは?

ハローワークの求人票ならではの書き方のポイントを教えてください。
引用:ハローワーク 求人票の見方|厚生労働省

記載例を見てもわかる通り、自由に書ける項目は「仕事の内容」「事業内容」「会社の特徴」「特記事項」くらいです。会社独自の色を出せるのはここだけですから、この4つをていねいに、実際の業務が想像つくように書くことが絶対的な条件となります。

ハローワークの求人票には、写真を載せられません。ただし、地図はデータ納品が認められています。地図の部分に写真を入れると他社と差をつけられますが、ハローワークのエリアによって対応が異なる可能性があるため、事前に確認するのがおすすめです。

最近はスカウト型の採用が増えていて、一部のハローワークでも「リクエスト求人」と呼ばれる支援が始まりました。管理職・技術職・専門職に限定されているものの、求職登録者の情報を見て面接の希望を出せます。

たくさんの求人票の中から、注目を集めるコツはありますか?

ハローワークの求人は基本的に出した順番なので、先に入った求人票はどんどん埋もれていきます。求人情報が現状の募集内容に沿っているかなど定期的にチェックして更新することで、注目されやすくなるでしょう。また、求人票は月末・月初のタイミングで増えるため、競合が出切ったタイミングで提出するのもポイントです。

低コストで効果大! Indeedなどの検索媒体を活用しよう

求人票の掲載先にはどのようなものがありますか。

掲載先は大きく分けると2種類です。1つは「媒体」と呼ばれ、さらに無料・有料に分類されます。無料の媒体はハローワーク、有料の媒体はリクナビやマイナビ、アルバイト情報誌などが代表的な例です。

2つ目が「検索媒体」で、Indeedが特に有名ではないでしょうか。検索媒体は、求人に特化した検索エンジンです。ハローワークをはじめとする媒体や企業ホームページの採用情報を拾い上げ、自動的に掲載するしくみになっています。なお検索媒体に拾われるのを待つのではなく、企業側が情報提供することも可能です。その際は自社のホームページを掲載してもらうか、直接掲載機能と呼ばれるテキスト広告のどちらかを選びます。ホームページ掲載、テキスト広告のどちらも無料ですが、上位表示させたい場合は有料となります。

中小企業におすすめの掲載先はありますか?

小さな会社は、採用コストが限られていますよね。なるべくお金をかけずに効果を出す方法としておすすめなのは、自社のホームページを検索媒体に掲載することです。先ほどテキスト広告も無料だとお伝えしましたが、反響率はホームページのほうが10倍ほど高いと感じています。やはり、文字だけより写真やいろんな情報が載っていたほうが印象はいいですし。

媒体より検索媒体を推奨する理由は、求職者が希望職種・エリアを検索して上位に表示されるほとんどが検索媒体の情報なためです。最初に見るのが検索媒体なら、初めからそちらに掲載してしまったほうが効率よく露出を高められます。検索媒体を選ぶ際は、上位表示させるときの料金やサービス内容で比較するとよいでしょう。

とはいえ急ぎで人を採用しなければならない場合は、ある程度のコストは覚悟してください。短期間であれば、タウン誌での募集なども選択肢の1つです。コストやひっ迫度のバランスを考慮して、掲載先を使い分けるようにしましょう。

この記事の著者

弥報編集部

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この記事の監修者

山中 章裕(株式会社船井総合研究所 HR支援部 マネージャー)

人財ファースト経営フォーラム主宰。2008年船井総研入社後、一貫して士業事務所の経営コンサルティングに携わり、その後クライアントの組織拡大に合わせて、マネジメント領域のコンサルティングを主な領域とする。中でも採用戦略の構築を得意とし、これまで30社以上の新卒・中途領域におけるダイレクトリクルーティング戦略の構築に携わった実績を持つ。現在では業種業界を問わず人財戦略の構築、人財育成、組織化のコンサルティングを担当し、企業の組織成長の支援を行っている。

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