- 業務効率化
「さっきもその質問受けたなあ……」社内Wikiがあればそんな悩みも解消!
2021.06.29
企業活動において、情報やナレッジの共有は非常に重要です。集合知として日々情報を貯めておくことはもちろん、欲しい情報がすぐに見つかるようにしておくことが必須でしょう。
しかし、社内掲示板やチャットツールなどを活用したナレッジ共有では、期待した成果が得られない場合も多いことが現状です。例えば年末調整の時期になると、メールや書面でアナウンスしたにも関わらず、社内のスタッフから書き方や計算方法について多くの質問が寄せられ、業務どころではなくなるという経理担当者も多いと思います。
このようなときに有効活用したいツールが「社内Wiki」です。情報やナレッジを簡単に蓄積でき、業務効率化はもちろん工数やストレスの軽減にもつながります。
そこで今回は、社内Wikiツール「NotePM」を提供する株式会社プロジェクト・モードの代表である小澤 卓馬氏に、中小企業が社内Wikiを導入するメリットや活用方法などについて解説してもらいました。
目次
情報の一元管理や検索もサクサク!社内Wikiとは?
社内Wikiがどのようなツールなのか教えてください。
社内Wikiとは一言で言うと、Wikipedia(ウィキペディア)の社内版です。ご存じの通り、Wikipediaはインターネットを使えるユーザーが集合知として情報を書き込むことで、検索すれば欲しい情報が見つかるツールですが、その社内版という位置づけになります。高機能な掲示板とも言い換えられるでしょう。
多くの企業がファイルサーバーや社内掲示板などで情報を管理していますが「検索が弱い」「整理しづらい」「ファイルが重い」といった理由から、ユーザーが欲しい情報を見つけられないという課題があります。また、メールや口頭でのやり取りが多く、そもそも情報が残っていないケースも多いです。
一方で、個人が持っているノウハウや知見を、情報として残す文化がなかなか根付かない点も課題視されています。例えばマニュアルなどをWordで書き、ファイルサーバーに格納して「ここに置きました」だけでは、見てくれる人が少ないうえに、だれが読んだのかもわかりません。
こうした課題を解決するためのツールが「社内Wiki」です。社内Wikiの提供価値としては、以下の2点が挙げられます。
- 気軽に情報を投稿できて、社内ナレッジを蓄積できる
- 強力な検索機能で、欲しい情報がすぐに見つかる
情報を探す時間の短縮や教育コスト削減、属人化の防止、業務効率化などにつながる点が、社内Wikiの導入メリットだといえるでしょう。
社内Wikiではどのようなことができるのでしょうか?メールやチャット、ファイルサーバーとの違いを教えてください。
多くの企業ではメールやチャット、ファイルサーバーなどで情報を管理するケースが一般的ですが、メールは大量過ぎて情報が埋もれてしまい、チャットでは情報が流されがちになります。またファイルサーバーは検索が弱く、ファイルが重い点も課題でしょう。
しかし、社内Wikiを導入することで情報が整理でき、かつ情報が流れない。そして、軽くて高速な検索エンジンによって、欲しい情報がすぐに入手できるようになります。
社内Wikiは、社内規定やマニュアルなどストック情報に強い
社内Wikiはどのような用途で活用されることが想定されますか?
最近では、ビジネスチャットと呼ばれる「Chatwork」や「Microsoft Teams」、「Google ドライブ」などのオンラインストレージ、「Backlog」のようなプロジェクト管理ツールなど、さまざまな情報共有ツールがあります。そして、ナレッジに特化したツールという位置づけで、その隙間を埋めるものが社内Wikiです。
情報の種類には大きく2種類あります。1つ目が流れる情報の「フロー情報」で、2つ目が溜めておいて、後から再検索して長期的に使う「ストック情報」です。
社内Wikiは長期的な利用を視野に入れ、メンテナンスする必要があるストック情報を管理することに特化したツールといえます。
なおストック情報の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 議事録
- 日報、週報
- 社内報、会社からのお知らせ
- 社内マニュアル、社内規定ルール
- 社内の連絡先情報
- XXXの使い方、XXXの方法
- 営業レポート
- 手順書、各種ひな形
- 入社時のオンボーディング
- FAQ集、お問い合わせサポート
- 各種報告書
- 業務ノウハウ、技術ブログ
- 成功事例、失敗事例
など
競合サービスとNotePMの違いはどのような点にありますか?
社内Wikiは多くの企業から、さまざまなツールが提供されていますが、機能面だけで見ればそれほど大きな違いはありません。しかし、エンジニアやプログラマーなどのIT人材向けのツールか、非IT人材向けのツールなのかという点においては違いがあります。
もともとWikiは、主にエンジニアやプログラマーなどに使われていたツールのため、競合ツールはIT企業の利用者が多いです。一方、弊社のNotePMは「機械・製造」「建設」「歯医者」「医療クリニック」「金融」「コールセンター」など、IT以外の業界・業種のお客さまが多く、「使いやすい」「導入しやすい」という点を高く評価してもらっています。
弊社としても非IT人材をターゲットに、パソコンに慣れていない人でも簡単に使えるような設計を心がけていますので、そこが支持いただいている部分だと思っています。
WordやExcel、PDFなどファイルの中身も検索できる!
中小企業が社内Wikiを導入するメリットを教えてください。
中小企業のお客さまによく見られるのが、日報や週報をメールで管理しているケースです。これらは社内Wikiで日報を管理でき、多くのメリットがあります。
例えば、コメント機能やリアクション機能を活用して日報や週報を管理することで、上司が簡単にフィードバックできたり、絵文字などで返信したりすることも可能です。日報や週報にかかる工数が削減され、すばやくコミュニケーションができるようになります。また、目標管理や1on1の面談などに活用するお客さまも多いです。
通常、メールで週報などを確認する場合は、たくさんのメールを受信して、その都度返信内容を書かなくてはいけません。そうすると上司の負担が大きくなり、返信が遅くなることや、最悪の場合、読まないこともあり得るでしょう。
またメールの場合、基本的に上司だけにしか送りませんが、社内Wikiであればチーム全体で日報内容を共有することもできます。他のメンバーが何をしているかがオープンになり、新しいコミュニケーションが生まれる点もメリットです。
〈参考〉
社内wikiの日報を通じてコミュニケーションが活発になった事例
中小企業におすすめしたいNotePMの機能があれば教えてください。
まず「ページを見た人がわかる機能」は、多くの中小企業のお客さまに支持されている機能です。上の図にある「目」のアイコンをホバーする(クリックせずにマウスポインターを「目」のアイコンにあわせる)ことで、このページをだれが、いつ見たのかがわかります。LINEの既読のようなものと考えれば、わかりやすいかもしれません。
ファイルサーバーなどでは、せっかくマニュアルなどを作って保管しても、だれが見たのか、役に立ったのかがわかりません。そのためモチベーションが上がらず、だれも情報を残さなくなり、情報共有する文化が浸透しないケースが多いのです。
一方、NotePMであれば「あの人ちゃんと見てくれた」ということが把握できますので、社内で情報を残す文化が浸透しやすくなります。
そして、もう1つがNotePMで力を入れている「強力な検索機能」です。
テキストだけではなくWordやExcel、PDFといったファイルの中身も検索対象にできます。キーワードを打ち込むだけで、Wikiの内容やファイルでも、すぐにヒットさせることが可能です。
マニュアルをすぐ検索できるという特性上、接客業や医療関係(歯医者、クリニック)、コールセンターなど、お客さまから問い合わせがあった際、すぐに回答が必要な仕事でよく使っていただいています。
FAQを作成して、年末調整の問い合わせを減らす使い方も
NotePMを導入し業務効率化を図るためには、特にどのような機能が役立ちますか?
強力な検索機能を活用することで、情報収集の時間を短縮できます。スタッフが欲しい情報をすぐに見つけられるため、効率UPはもちろん、検索時のストレスも軽減されるでしょう。
そして、Wikipediaと同じように、Web上で簡単に文書が作成できる機能も役立つでしょう。「気軽にナレッジを投稿する場所がない」という課題を解決できます。
さらに、NotePMはファイルの履歴管理が自動的に実施されるため、マニュアルやFAQなど日々アップデートする必要がある情報の管理・共有が簡単に行えます。社内Wiki上で情報を編集するだけで、必要なメンバーに通知が飛び、かつ履歴をすべてバージョンとして残せる点が特徴です。
そのため「この情報はだれが詳しいのか」「バージョンごとに何を更新したのか」といった情報も把握できます。また、以前のバージョンのファイルも閲覧できますし、以前のバージョンに戻すことも可能です。
経理業務に役立つ機能はありますか?
経理部門ではないのですが近しいものとして、弊社のお客さまであるクラウドバンク株式会社さまの法務部門における事例を紹介します。
経理部門と同様、法務部門のスタッフには専門的な知識やノウハウが必要です。NotePM導入前は1年以上かかる行政への申請プロジェクトなどで、担当者が途中で退職すると、どこまで進んでいるのかという情報が正確に把握できず苦労していました。しかし、NotePM導入後は進行状況を履歴で残せるようになったことで、プロジェクトの進捗状況や他の部署が先々どう絡んでくるのかといった情報が把握できるようになり、業務効率化につながったそうです。
経理部門においても、スタッフが退職してしまった後「この業務ってどこまで進行してたっけ?」「IRの数字どうしよう……」といった問題が発生することもあると思いますが、社内Wikiで情報共有を適切に行うことで未然に防ぐことができるでしょう。
弥生ユーザーの中にも社内Wikiを活用したいという声があります。中でも特に多いものが、年末調整時期における活用です。
弥報Magazine2020年11月号で、現在お持ちの課題に関するアンケートを実施したところ、実際に、社内Wikiを活用できれば解決できる課題をお持ちの方が多くいらっしゃいました。
〈弥報Magazineアンケートで得られた、お客さまの声〉
- 年末調整の書類を不備なく従業員に記載してもらう方法が知りたい(50代女性経理担当者)
- 年末調整、今回の変更点は従業員への周知をどのように対応していくか、事前にわかりやすいサンプルを作る必要がある(50代女性人事総務)
- 年末調整を実際に行うのは労務チームだが、従業員からの問い合わせ対応をする際、どうしても知識が必要(30代男性経理担当)
- 新しく年末調整業務を担当することになった(50代女性経理担当)
- 毎年、年末調整では顧問先とやり取りが頻繁にある(40代女性経理担当)
毎年、年末時期になると社内からの質問が非常に多く、通常業務が行えない状況になってしまうため、社内Wikiツールの中で完結してFAQなどをまとめられると便利な気がしますがいかがでしょう。
そうですね。例えば年末調整のツールに入力していく過程で、スタッフが迷いやすい箇所のスクリーンショットと使い方をワンセットにして、社内Wiki上で展開されているお客さまはいらっしゃいます。
経理部門には社内のスタッフやグループ会社から、入力方法や科目などについての多くの問い合わせが入ると思いますが、社内Wiki上でFAQを作成しておくことで、
- 社内スタッフ:欲しい情報がすぐに見つかる
- 経理スタッフ:問い合わせにかかる工数削減→業務に集中できる
といった両者にとってメリットがある状態が実現できるでしょう。
社内Wikiをうまく活用し、社内で浸透させるために
社内Wikiツールを選ぶ際に、注意すべきポイントを教えてください。
社内Wikiは、部署を限定して使う場合もありますが、基本的にはスタッフ全員で使うことが前提になります。そのため、パソコンに慣れていない人でも簡単に使えるツールを選ぶことが重要です。
したがってツール導入時には、ITに詳しくない人も巻き込み、無料トライアルなどを活用して、使い勝手を比較検討することが必要でしょう。ただし単純な機能比較ではなく、あくまでも「現場のスタッフが使いやすいかどうか」という視点で選ぶことがポイントだと思います。
ツールの導入後、どのような取り組みを行うと、社内浸透や継続的な利用へ繋がりやすいでしょうか?
ナレッジ共有をスムーズに行うためには、社内にもある「イノベーター理論」を意識することが大切です。
イノベーター理論とは、新しい製品やサービスの市場普及率を表したマーケティング理論のことで、普及の過程を5つの層に分類しており、社内で新しいツールを導入する際にも同じ理論が当てはまります。
社内には新しい物好きな方がいる反面、年配の方などは「こんなツールはいらない」と反発するケースもありますので、いきなり全社で導入しようとすると失敗する可能性が高いです。
まず小規模のチームを作り、新しいモノ好きのイノベーターやアーリーアダプターを味方につけて、運用ルールを整理しながら成功事例を作っていきましょう。その後で社内の全体集会などでアナウンスすると、スムーズに導入できる可能性が高まります。
中小企業の場合は、最初は3~4名程度でまず運用を始め、うまくいったら全員に展開するという方法がおすすめです。
となりますと、社内で継続的に社内Wⅰkiを利用するには、段階的にスタートさせるとよいのでしょうか?
最初から「全社でナレッジ共有していきましょう!」というと、うまくいきません。まずは、これまで全社のメーリングリストでやり取りしていた会社のお知らせを社内Wikiで共有することなど、スモールスタートで始めてみるといいでしょう。
例えば社内規定やプリンターの設定方法、社内システムの使い方、議事録など、スタッフの参照頻度が高く、ニーズがある情報を社内Wikiに蓄積することから始めるのもおすすめです。
ポイントは「社内Wikiで検索すれば、欲しい情報が見つかる」という状態にすることです。最初は総務や情報システム部門が主体で運用し、慣れてきたら営業や開発部門、役員といった層へ広げていく。蓄積する情報もどんどん増やしていくとよいでしょう。
まだ導入していない方は、ぜひ社内Wikiを使って業務を効率化し、個人はもちろん会社全体の生産性を向上してみてはいかがでしょうか。
▼テレワーク時代のナレッジ共有ツール(社内wiki)
NotePM
この記事の著者
弥報編集部
弥生ユーザーを応援する「いちばん身近なビジネス情報メディア」
この記事の監修者
株式会社プロジェクト・モード 代表取締役 小澤 卓馬
前職はNTTデータにて大規模システム導入、ERPパッケージ製品の開発に従事。2012年NTTデータを退社。同年3月、スマホアプリやWebシステムの開発を行う専門会社として、株式会社プロジェクト・モードを設立し、代表取締役に就任。
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