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補助金も使える!小さい会社でもできるAIを活用し業務効率化する方法

少子高齢化により日本の労働人口が年々減少している中、AIを活用して生産性向上に取り組む企業が増えています。

「AI」と聞くとハードルが高いイメージがあるせいか、中小企業には無縁のツールだと思われがちです。しかし、近年は安価な AI関連のITツールやソリューションも増えており、有効活用して生産性を上げる中小企業が散見されるようになりました。また、国もさまざまな補助金や助成金で中小企業のAI活用をバックアップしています。

そこで今回は、一般社団法人AI・IoT普及推進協会の阿部 満さんに、中小企業がAIを導入するメリットや活用事例、導入する手順や相談先・補助金の活用などについてお尋ねしました。


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阿部 満(一般社団法人AI・IoT普及推進協会代表理事兼事務局長、AI・IoTマスターコンサルタント兼AIPAインストラクター)

富士ゼロックスIT関連企業にてマーケティング関連に従事後、京セラ関連IT企業にて事業開発部長、経営企画部長、コンサルティング部長に従事。ITコーディネータ協会を経て、現社を設立。中小企業向けコンサルティング活動を行うほか、研修講師としても高い評価を得ている。経済産業省IT経営力大賞認定および優秀賞企業など多数支援。著書に「IT経営可視化戦略」(産業能率大学出版部)、「IT経営実践の知識」(同友館)、「AI×IoTで会社を強くする方法」(Amazon)「ITで経営課題を解決する方法」(Amazon)などがある。一般社団法人AI・IoT普及推進協会ホームページ


商品の安定供給にコスト抑制……中小企業がAIを導入するメリットは多い

――中小企業がAIを導入するメリットを教えてください。

中小企業庁が発表したAI・IoT(Internet of Thingsの略語で、モノがインターネットにつながるという意味)などの活用有無と労働生産性の結果によると、AI・IoTを活用した企業のうち、生産性が「かなり向上」と「やや向上」を合わせると59.2%という結果でした。一方、AI・IoTを活用していない企業の場合は、43.0%と16.2%の差があることがわかります。

また売上に関する調査の結果は、IoTやビックデータ、RPAなどを活用している企業のうち、経常利益額が上がっていると回答した割合は47.0%だったことに対し、未活用の企業が37.3%と9.7%の差がある状況です。

しかし、以上の結果からもわかるように、AIやIoTを導入したからといって、いきなり生産性や売上が2~3倍に向上するわけではありません。日本においては、AIがまだ黎明期ということもあり、欧米のように高い成果を上げている企業が少ないというのが現状です。AIで生産性を大きく向上させるためには、使い方が重要といえます。

参考:中小企業庁「第2部深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命」


――AIを活用すると具体的にどのようなことが実現できるのでしょうか?

AIは画像や音声の解析が得意です。例えば、カメラで認識した人の顔から年齢や性別を瞬時に判定することや、トレーに置いたパンを認識して価格を自動算出できます。

AIを活用すると実現できることの事例として、ノウハウの見える化と来客予測による収益増加を紹介します。

日本酒製造業のA社は、職人(杜氏、蔵人)の勘と経験の製造から脱却するために、AIを活用した酒造りのデータ化に取り組みました。職人の作る日本酒のノウハウを、AIを活用して大量なデータとし、IoTセンサーでリアルタイムに温度や湿度などを管理することで職人に頼らない酒造りを実現したのです。

その結果、A社は日本酒の安定供給を実現しただけでなく、従業員の待遇面が改善されるなど、安定した経営の実現にも成功しています。

一方、多くのメディアでも取り上げられた日本の名所で飲食店とお土産店を展開する飲食業と小売店のB社は、的中率9割を誇る来客予測AIを活用し、翌日の来客・注文数を高精度に予想することに成功しています。その結果、人員配置や食材の準備がスムーズになり、料理提供時間短縮や仕入れ・廃棄コスト抑制を実現しました。

来客を予測するために利用されたAIは、1時間単位の予測から長期的な予測まで可能です。そのため、従業員のシフト最適化が行いやすく、ワークライフバランスの大幅な改善を実現したそうです。これにより、従業員のエンゲージメントが強化され、離職率の抑制にもつながる効果が期待されています。

業務効率化に顧客のニーズ把握まで!中小企業におけるAIの活用事例

――AIを実際に導入して生産性向上につなげた中小企業の具体例を紹介してください。

  • サービス業での事例:24時間365日宿泊者質問回答

こちらはホテルのコンシェルジュの代わりに、チャットボットを導入した事例です。

全国の多くの旅館やホテルではAIチャットボットにより、宿泊客がホテルに問い合わせたいことを、24時間365日、AIを搭載したチャットボットに質問できるサービスを展開しています。

相手がチャットボットなので、宿泊客が気軽に質問できるようになり、結果として顧客満足度を高められました。ホテル側のメリットは、これまでコンシェルジュが対応していた工数の削減にとどまりません。宿泊客の質問がデータとして蓄積されることで、潜在的なニーズが可視化され、サービス改善につなげることができたのです。これは、大きなメリットといえるでしょう。

  • サービス業での事例:優秀ドライバー配車可視化による乗客率向上

タクシー組合のC社は、AIの活用によって優秀なドライバーの配車状況をデータ化して蓄積することで、顧客の需要を予測するシステムを開発しました。モバイル空間統計やタクシー運行、気象、施設データなど、さまざまな情報を基に算出した、リアルタイム移動需要予測情報をタブレット上に表示しドライバーに提供しています。

500m四方のエリアにおいて、30分ごとの乗車需要を10分単位で予測し、地図に色と数字で示すしくみです。これにより新人ドライバーでも、まるで熟練ドライバーのような配車が可能になり、乗車率向上を実現しています。

  • 卸・小売業での事例1:新人でもレジ作業可能

全国の多くのパン屋やベーカリーショップでは、AIカメラを活用したレジを導入しています。

パンを購入するお客さまが、複数のパンをトレーに載せて、レジ横にあるカメラの下に置くと、AI自動認識カメラがパンを画像認識するしくみです。パンの種類を自動判別し、価格・数量から購入金額を算出できます。

このシステムを導入することで、パンの種類を覚えていない新人の店員でも、レジ作業を担当できるようになりました。業務効率化と人材育成コスト抑制を実現した事例です。

  • 卸・小売業での事例2:顧客動向分析によるMD(マーチャンダイジング)力向上

メガネやコンタクトレンズなどの小売専門店をチェーン展開するD社は、潜在的な顧客ニーズの把握のためにAIを導入しています。

AI導入により、これまで取得できなかった来店者の年齢や性別、滞在時間、交通量、来店者人数といったデータが取得できるようなりました。店舗内の顧客データを活用することで、DM配信や店舗キャンペーンといったマーケティング施策の効果検証が実施できるようになったそうです。

実際に来店者の属性を分析したところ、想像以上に20~30代男性のお客さまが多いことが判明しました。しかし、店舗に仕入れていた商品がシニア層向けのものが多かったため、商品構成を変更し、入荷したそうです。データに基づき、顧客層によりフィットした売り場をつくることで、売上や集客力の向上が期待されています。

AIを導入する手順や相談先は?使える補助金も紹介

――AIを導入しようと思った場合、どのような手順で実施するべきでしょうか?

当協会ではDXプロセスを提唱しております。このDXプロセスとは図のプロセスを指しますが、簡単に言うと、例えばAIを導入する際には、事前に解決したい経営課題や問題を明確にしておく必要があります。課題や問題の中には、AIで解決できるものとそうではないものが含まれるからです。

また、課題や問題が明確化したら、次は業務レベルに落とし込んで現状把握を行い、理想とのギャップを把握しましょう。例えば売上が上がっていない場合は、商品力が低いことが問題なのか価格が高すぎるのが問題なのか、というように問題点を具体化し解決方法を絞り込むことも重要です。

課題の抽出が終わったら、次は具体的なAIソリューションやサービスの選定を行います。AI導入後の業務フローやシステムフローを可視化し、AI・IoTのシナリオを作成することが必要です。その後、シナリオに基づいてスケジュールを設定し実行に入ります。

AI導入時にやりがちな失敗例としては、ツールだけ先行して導入するケースがあります。もちろん、AI・IoTツールの導入自体が失敗とは限りません、しかし導入前に業務フローを分析し、定性的・定量的目標(KGIやKPI)の設定や導入スケジュール、予算、体制やAI・IoT導入シナリオを描いておかなければ、導入に失敗する可能性が高いでしょう。

ぜひ詳しく学びたい方は当協会で、支援者側ではAI・IoTコンサルタント(AIC)、企業側ではAI・IoTアドミニストレータなどの研修試験なども行っていますので、ご参加いただければと思います。

参照:一般社団法人AI・IoT普及推進協会

なお経産省も中小企業向けの「AI導入ガイドブック」を提供しているので、参考にしてみてください。

なお、AI導入時の相談相手としては、AIソリューションを提供しているベンダーが一般的でしょう。もちろん、我々AI・IoT普及推進協会や中小機構などのAI関連の窓口へ相談する方法もあります。

参照:経済産業省「AI導入ガイドブック」


――AI関連のITツールやソリューションなどを導入する際、どの程度の費用が必要でしょうか?

汎用的なAIやIoTのツールやソリューションであれば、月数万円程度で導入できるケースもあります。ただし、データをしっかり取得する必要がある場合には、1,000万円以上はかかるのが一般的です。

そのため、中小企業が1社だけで導入するのは、現実的とはいえません。しかし、同業種であれば同じような課題を抱えている可能性が高いので、データを蓄積して利用できるようになったツールを他社に横展開して、初期投資を回収する方法もあります。

実際にAIやIoTのツールは、かなりたくさん提供されています。自社の業種に合いそうな課題解決が可能なツールが、既に販売されているケースも多いので検索してみてはいかがでしょう。


――AIを導入する際、活用できる補助金や助成金があれば教えてください。

「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」などは、AIツールの導入に活用できるでしょう。また、新型コロナウイルス感染症の影響による、事業の改革などにAIを活用する場合であれば「事業再構築補助金」なども視野に入ると思います。

また、各自治体でDXを対象にした補助金や助成金を準備しているケースが多いので、探してみることをおすすめします。

IT導入補助金2022
ものづくり補助金総合サイト
事業再構築補助金

〈その他のDXの記事は【こちら】から〉

著者:弥報編集部
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