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できる会社やお店は何をしている?成功事例から学ぶ「外国人従業員の育成・定着」4つのポイント

私はここ10年間で500回近く、建設、アパレル、飲食、製造、物流、運輸業など外国人従業員を積極的に採用している企業で、オフサイトミーティングや研修・ワークショップなどを行っています。もちろん出身国や個人によってさまざまな方々がいるものの、多くの場合、外国人の強みは、職場の空気や上役の顔色を気にして周りに同調しがちな日本人よりも何事にも“主体的”であり、「自分はこう思う」という意見や考えをストレートに口にするわかりやすさにあるように思います。

今やビジネスをパワーアップさせている企業は、国際色豊かな外国人従業員を積極的に採用し、個々が発揮するアイデア出しや改善、サービスに活かして顧客満足度を高めています。

前回の記事「スモールビジネスも国際化の時代!外国人採用を成功させる3つのポイント」に続き、今回は、そういった企業がどのように外国人従業員の強みを活かし、活躍の機会をつくっているか、育成や定着にフォーカスしてお伝えします。

簔原 麻穂

執筆者:簔原 麻穂(みのはら あさほ)

「株式会社スコラ・コンサルト」の組織変革プロセスデザイナー。国家資格キャリアコンサルタント、女性労働協会認定講師。経営層の参謀役育成やマネジメント改革、女性ならではの強みを仕事の成果につなげる支援を得意とする。

ポイント1:疑問や意見を持ち自分で考えて理解しようとする姿勢を邪魔しない

入社して間もない外国人の従業員に「最初は何に困りましたか?」と聞いてみると「言葉以外に、仕事の流れや専門用語などがわからない」という意見をよく聞きます。

日本人の場合は、1~2日間、一緒に仕事を一通り回せば、だいたい流れもわかるし覚えるだろうと思いがちです。しかし、外国人の様に文化や風習が異なる場合は、仕事の流れや、自分たちで使っている専門・社内用語なども意味や意図がなかなか理解できないもの。

そうした困りごとや課題を解決するためには、仕事の工程を図解したフロー図などで「見える化」します。まずは、何をやったらよいのか、目で見てイメージができる図や用語集などをつくっておくのです。

また、仕事を身につけてもらうには、できるだけOJTを活用し、双方向の対話型で行いましょう。見える化と対話型OJTをセットで行うことで、理解度は高まります。

なぜ双方向の対話を重視するのかというと、日本人は決められた手順通りに仕事をするように言われてもあまり違和感を持ちませんが、文化や価値観が異なる多くの外国人にとっては「なぜそうすることになっているのか?」、手順そのものに対する疑問などが出やすいからです。

それに対して、工程や手順、やり方の持つ意味や目的などをわかりやすく説明し、やりとりをしながら納得性が持てる仕事の仕方へと導く。こうした相手側の理解を促すプロセスを踏むことで、持ち前の主体性がより引き出され、早く仕事を身につけたいという行動につながるのです。

ポイント2:「気づきや創意工夫」を尊重し、異文化視点のアイデアを引き出す

あるホテルで日本式の接客サービスの研修を行っていたときの話です。

イギリス人男性のRさんが、自分が以前勤めていたヨーロッパのホテルのサービスでうまくいったことを話してくれました。日本式の礼儀正しいサービスに加え、Rさんが提案してくれた英国式の「品格はあるがナチュラルな接客」を取り入れることにしたところ、彼は、これまで以上に積極的に接客サービスの改善に動いてくれるようになりました。

このホテルには、イギリス人のほかに、アメリカ人、インド人、中国人、韓国人と多国籍の従業員がいます。当初は全員に対し、日本式の接客マナーを守らせることを重視していましたが、現在は、外国人従業員から見た日本の文化や伝統美を自分らしく伝えていく方向に転換しています。

外国人の特性を活かし、顧客満足度の向上や業務改善のアイデアなどについて積極的に話してもらう機会をつくり、国籍の異なる個々のキャラクターならではの接客サービスや商品の提供の仕方など、楽しさやユーモアなどの要素もどんどん取り込んでいったのです。

自分の手でつくり上げ、参画の実感の持てる仕事は、新しい顧客の獲得や今までの顧客にとってもより一層の満足感につながります。そして、なによりも従業員の働きがいと誇りにつながるのです。

ポイント3:顧客満足につながる個性や強みを評価する

人は本来、誰かのため、何かのために役立っていると感じられると気持ちが安定します。ましてや、自分の持ち味を発揮した結果、仲間から、今日のこの動きやサービスが良かったなどのフィードバックや、お客様の声が聞こえるしくみがあるとさらなる工夫や改善の意欲が高まります。

多くの場合、日本人は目立つことを苦手とするだけに、自己表現が豊かな外国人従業員の発信力を取り入れることは、従来の仕事の感覚を変えることにもなるのです。

ある販売会社に勤めるアメリカ人男性のKさんは、持ち前の明るさで主体的にチームをまとめ、英語力と積極的な商品アピール力で業績に貢献していました。彼が入社したことで、低迷していた海外への販売力は増し、顧客との信頼関係も圧倒的に強くなりました。

さらに、社長がKさんに感謝の想いを伝え、評価をしたことで責任感が生まれ、チームや顧客に対して、より丁寧にアフターフォローをするようになったそうです。

社内表彰のような制度がない場合、日常の会話の中でフィードバックするだけでも十分です。相手の長所や特徴を取り上げて、具体的なフィードバックを行いましょう。時には顧客に簡単な手書きのアンケートなどを取り、データをもとにワイワイ話をするのもよいでしょう。リアルタイムにお互いの活躍を認め合うことが大切です。

例えば、仕事が終わった後など、社長や仲間同士がお互いに感謝の言葉を伝えることを習慣にすると、のびのびと行動できる明るい職場になるでしょう。

ポイント4:ひとりぼっちにさせない!「心理的安全性」が定着につながる

私は多岐にわたる業種分野の企業で、さまざまな職種、部署の人たちと仕事をしていますが、企業規模に関係なく、孤立無援で一人ひとりが頑張るだけの職場は、つねに人が辞めていく、メンタル不全で従業員が力を発揮できない、という問題に悩まされています。

実は、グーグルをはじめアメリカ・シリコンバレーで最先端の仕事をするエンジニアの間でも、パフォーマンスを高めるためには「心理的安全性(チーム内で遠慮したり、戸惑うことなく安心してチャレンジしたりできるか)」が第一の条件として重視されています。

具体的に重視される要素は「協力してくれる仲間の存在」です。理解ある上司のもとに、仲間とのチームワークで仕事ができる職場は、前向きな人材が育ち、そういう仲間を増やしていける環境でもあるのです。

そんな環境をつくっている“職場サイズ”のケースを取り上げてみましょう。多国籍のアルバイトを採用しているある飲食店では、お店の顧客満足度をアップする目標を仲間と共有し、個々の経験やスキルを活かしながらチームで店づくりやサービスに取り組んでいます。

さまざまな国からの観光客が多いこの店は、オペレーションのスピードを重視しており、忙しいランチタイムともなると、お客様が来店されたらすぐに仲間同士で声を掛け合い、言葉が通じる同じ国のスタッフと入れ替わります。お客様にストレスを与えない、お待たせしない、注文を正確に取るなど、忙しい時間帯に合わせたフォーメーションを組んでいるのです。

この店のように「お待たせしない」という顧客満足を高める目標を立てて従業員が共有し、彼らの知恵や自主性に任せて仕事を回すようにしていると、現場が自分たちでアイデアを出し合い、個々の得意技を活かし合って連携するチームになっていきます。

時には失敗もあるでしょう。しかし、それも助け合って乗り越えながら、一緒にビジネスの担い手として製品やサービスをつくっていく。彼らが多様な国籍の顧客を笑顔で迎え、仲間とイキイキ仕事をしている様子を見て、これこそがチームのなしうる技だと思うのです。

こうした協力し合えるチームの連携は、もちろん接客業だけのものではありません。製造業や建設業では現場による納期短縮や品質改善につながりますし、物流業では情報やモノの流れを停滞させない仕事の仕方につながっていきます。

そういう意味で、定着については、まず「一緒に楽しく働ける仲間がいるか」が大切な要素になります。「ひとりぼっちにさせない」が重要なキーワードなのです。

私が支援してきた多くの企業では、能力や技術はもちろんですが、周りに気を使い過ぎたり、同調したりすることなく環境に適応していくタフさ、ストレスに対する強さを持ち、自己主張ができる外国人社員が活躍しています。主体的な外国人社員が職場で積極的に意見やアイデアを発信する姿を見て、周りの社員が刺激を受け、職場に良い影響を与えているのです。

協調性を大切にする日本人の良さに、私たちが持たない外国人の持つ特性を積極的に取り入れていく。

共に活かし合うことができれば、会社はまだまだパワーアップしていけます。自分たちにない視点や文化を持った外国人社員を活かして、ビジネスの可能性を広げてみてください。

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株式会社スコラ・コンサルト
著者:株式会社スコラ・コンサルト
組織風土改革のパイオニアとして企業・公的機関の支援に30年の実績をもち、実践を目的とした〈プロセスデザイン〉という独自の変革手法に特徴がある。「コンサルタントのいないコンサルティング会社」のスタンスを貫き、「プロセスデザイナー」が現地で現場の人たちと一緒に考える伴走型の支援を行う。本音でまじめな話ができる対話の場、職場や立場を離れてフラットな関係で行う「オフサイトミーティング」は、スコラ・コンサルトの代名詞になっている。株式会社スコラ・コンサルト ホームページ。


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