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スモールビジネスの未来を拓く「クラウドファンディング」の可能性

数年前から耳にすることが多くなった「クラウドファンディング」。新たな資金調達法として世界的な広がりを見せているばかりか、スモールビジネスを進める上でも無視できない存在になりつつあります。潤沢な資金があるとは言えない中小企業にとっては、活用を前向きに検討したいところではないでしょうか。

そこで、これまでの投資や寄付とどこが違うのか、そして、中小企業が活用することでどんなメリットが得られるのか、改めて考えてみましょう。

「ネットの力」でプロジェクトを支援

2017年7月、クラウドファンディングの知名度を大きく上げる出来事がありました。主役は折りたたみ式の電動ハイブリッドバイク「Glafitバイク」。この乗り物の開発・生産資金をクラウドファンディングで募ったところ、当初の目標額300万円をはるかに超える1億2800万円を獲得したのです。

このプロジェクトを企画したGlafit株式会社は、和歌山県にある小さな町工場。「人々の移動をもっと便利で、快適で、楽しいものにする」というコンセプトのもとで新たな乗り物づくりに取り組み、1200人以上の支援者から共感を集めました。

1億円以上を調達して話題になった「Glafitバイク」 出典:クラウドファンディングサイトMakuake

クラウドファンディングとは、クラウド(crowd:群衆)とファンディング(funding:資金調達)を組み合わせてつくられた造語です。不特定多数の人に呼びかけて資金や寄付を集めるという手法は古くから定着しているものですが、クラウドファンディングは呼びかけるための手段として、インターネットを活用するのが大きな特徴です。

Webサイト上で資金、寄付を募る取り組みは1990年代から、主にアメリカや欧州で行われてきました。これが日本で広まったきっかけは、2011年に発生した東日本大震災だったと言われています。当時、被災者救済と復興を目的にさまざまな寄付活動や募金が行われましたが、「寄付したお金は何に使われるのか?」という疑問や、「ただ集めるだけでなく、事前に目標額を決めた方がいいのでは?」といった意見が出されました。

クラウドファンディングを行う多くのサイトでは、個々のプロジェクトが提案時に資金の使い道(○○を開発したい、××用の施設を整備したいなど)と、目標額を明示します。もし目標に達しなければ不成立となり、集めたお金は返却されます。明確で、かつわかりやすい仕組みが世の中に受け入れられたことで、その後の急速な普及につながりました。

活用の幅を広げる取り組みが続々登場

クラウドファンディングの目的は、ズバリ「お金を集めること」です。ただし、お金を集める目的は多種多様。資金調達にはその目的ごとに明確なルールがあり、法による規制も定められています。

現在行われているクラウドファンディングは、以下の図のとおり、大きく分けて「寄付型」「購入型」「投資型」という3つのスタイルがあります。

寄付型では2011年以降、東日本大震災の復興を目的とした多くのプロジェクトが立ち上がりました。特に復興支援と偽り街頭募金を行うといった犯罪が頻発していたことから、より信頼できる募金方法の一つとしても認知されつつあります。

購入型は、ここ数年で急成長しているスタイルです。たとえば「こんな商品をつくりたい」と考える企業が、ファンディング成立後に優先購入できる権利をリターンとして提供すれば、企業と顧客の双方が得られるメリットは大きくなります。

投資型は上記の2つとは異なり、見返りがストレートに利益、もしくは損失へと結び付きます。既存の金融商品と同様に、運用には厳しい規制がありますが、最近ではリスクマネーの供給促進を目的とした金融商品取引法の改正や、新規参入を容易にするための規制緩和など、新しい投資の形として根づかせようとする動きが見られます。

銀行からの融資や補助金だけに頼りきらずチャレンジできるメリット

先ほどクラウドファンディングの目的は資金調達と書きましたが、それ以外にもビジネスで役立つ魅力を持っています。中でも注目を集めているのが「マーケティング」への活用です。

たとえば、企業が新商品を開発する際、これまでは顧客のニーズを探るために綿密な検討を重ね、必要に応じてアンケートやテスト販売などを行ってきました。ここで購入型のクラウドファンディングを活用して「今度こんな商品をつくりたいのですが、支援していただけますか?」と提案し、将来の顧客となり得る人たちの反応を確かめた上で生産に取りかかれば、より着実な成果を上げることができます。

一方、顧客にとっても「発売時には半額で提供」「無償サポート実施」といった特典は、その商品に魅力を感じる人にとっては歓迎すべきものです。このような特典提供には相応の資金が必要ですが、経営体力の弱い中小企業では「効果はわかっていてもなかなか実行に踏み切れない」というケースが少なくありません。クラウドファンディングではプロジェクト成功が特典提供の条件になるので、確実かつ計画的な販売促進、マーケティング活動を行うことが可能です。

また、できるだけ銀行の融資や補助金に頼らず、自力で市場開拓したいと考えている企業にとって、クラウドファンディングはまさに格好のフィールドと言えるでしょう。自社の提案を評価するのは支援者となる「顧客」であり、頭の固い融資担当者ではありません。「その商品・サービスが本当に世の中で必要とされているのか?」、「わが社のファンになってくれるのか?」といった問いかけに対する答えを得るためのプロジェクト公開は、大きな価値がある取り組みです。

クラウドファンディングを成功させるためには目標を明確に

これからクラウドファンディングを活用してビジネスに役立てたいと考えたとき、どんな準備をすべきなのでしょうか。

まず挙げられるのは目的、つまり、「クラウドファンディングで何がしたいのか?」をはっきりさせることです。一口に資金調達と言っても、研究開発費、建設費、運営に必要な資金など、使い道は細かく分かれています。

たとえば、ものづくりの現場で使われるレーザー加工機の開発資金をクラウドファンディングで獲得した株式会社smartDIYsは、それまで数十万~数百万円は下らなかった加工機を「5万円台で売り出す」という目標を前面に出し、大きな支持を集めました。

単に「助けてください!」と呼びかけるだけでは、到底支援は受けられません。まずは実現可能なプランを作成して必要な金額を算定。その上で融資や補助金の手配を行い、不足した分をクラウドファンディングで補うという手法が、これまでの事例に基づいた成功への近道です。

ちなみに、目的は商品・サービスの販売だけに限りません。「地元に貢献したい」あるいは「純粋にファンを増やしたい」という意図でもOKです。重要なのはコンセプトと目標を明らかにすることです。

代表的なクラウドファンディングサイト

次に、プロジェクトを掲載するサイトを選びます。世界規模でサイト設立・閉鎖が相次ぎ、日本でも現在100以上のクラウドファンディングサイトが存在していますが、いくつか代表的なものをご紹介しましょう。(以下、2018年12月時点での情報となります)

Readyfor運営:READYFOR株式会社)
日本で最初に開設された購入型クラウドファンディングサイト。社会貢献を目的としたプロジェクトをはじめ、幅広いジャンルを扱う。手厚いサポート体制を整備。

CAMPFIRE(運営:株式会社CAMPFIRE)
クリエイター系、エンタメ系のプロジェクトを中心に、業界トップのプロジェクト掲載数を誇る。地域貢献に特化したサイト「FAAVO」も運営。

Makuake(運営:株式会社マクアケ)
IT企業のサイバーエージェントグループが手がけるサイト。資金調達額No.1となった電動バイクなど、話題性のあるプロジェクトを多数掲載。

Kibidango(運営:きびだんご株式会社)
資金調達に限らず、プロジェクト成立後の展開(EC)まで見据えたサービスを提供。成功率は80%と高いが、手数料は10%と低額に抑えている。

未来ショッピング(運営:株式会社日本経済新聞社)
日本経済新聞が運営するチケット購入型サイト。ビジネスパーソンへの訴求力には定評がある。LINEが運営するサイト「ENjiNE」との連携で、同時掲載も可能。

他にも多くのサイトがありますが、それぞれが個性・特徴を持っています。まずはサイトを見て、どんなプロジェクトが提案されているか調べましょう。また、これらのサイトを利用する場合、プロジェクト成功時には所定の手数料を支払う必要があります(10%~20%程度)。サイトの集客力、プロジェクトの成功率、サポート体制などを検討し、目的に合うサイトを選んでください。

プロジェクトが掲載されると、その後はリアルタイムで支援者数と金額が更新されます。目標達成できるか否かはプロジェクトの内容次第ですが、サイト運営会社のスタッフによると、成功の秘訣は「“想い”を伝える」部分にあるとのこと。いくら美辞麗句を並べても、支援者の賛同が得られなくては意味がありません。提案に至った経緯や今後の計画についてわかりやすく、明確な方向性を支援者に伝えることがポイントになります。

このように、クラウドファンディングは資金調達だけでなく、優れたマーケティングツールとしての可能性を持っています。いろいろなサイトを閲覧して雰囲気を把握し、ビジネスの発展、成長に役立てましょう。

著者:林 達哉(はやし たつや)
出版社勤務を経て独立。書籍・雑誌のコンテンツ制作、マーケティングに携わる傍ら、IT、ビジネス等の分野で執筆活動を行う。

弥報Online編集部
著者:弥報Online編集部
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