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ビジネスでの利用はもはや当たり前?仕事で使えるチャットツールを紹介!

2016.11.08

著者:飯島 範久

ビジネスでの利用はもはや当たり前?仕事で使えるチャットツールを紹介!

おそらく多くの人がプライベートで利用している「チャットツール」。「チャット」と聞いても、あまりピンと来ない方もいるかもしれませんが、「LINE」や「Facebook Messenger」といえば、「あぁ、それなら知っている」と思うことでしょう。

「プライベートで使うツール」というイメージの強いチャットツールですが、ビジネスでも導入する企業が増えてきています。今回は、その理由と、どんなツールを使えばいいのかをわかりやすく解説します!

メールではもう遅い、より迅速な対応が必要

仕事中に、メールのやり取りが面倒だと思ったことはありませんか? 丁寧なビジネス文書で書かなければならなかったり(場合によっては社内の人にも)、添付ファイルの容量が大きいときは外部サービスでわざわざ送ったりと、意外に手間がかかるものです。一般社団法人日本ビジネスメール協会の調査(2016年)によると、1日に平均12通のメールを送っており、1通の平均作成時間は7分かかっているとのこと。これだけで1日84分もメールのやり取りに費やしていることになります。

またメールでは、話が進むのに多くの時間を要することがあります。メールの確認を怠ったり、メールが大量に届くため埋もれてしまったり、返信するにも気軽に行えないなど、理由はさまざまあると思いますが、ビジネスにおいて話が滞ってしまうのは避けたいものです。

これに対して、チャットだとスマートフォンを利用していればメッセージが届いたことをすぐに確認でき、短文でやり取りするため反応もしやすくなります。リアルタイムに反応できれば、すぐに話は進みますし、メールのように受信箱に大量のメールで埋もれて見逃す心配もないので、やり取りがスムーズに運びビジネスを加速させます。

図1:スマホの登場で、いつでもどこでもやり取りできるように。受信時に音や振動で知らせたり、アイコンには未読の数が表示されたりするので、通知を見逃さない
図1:スマホの登場で、いつでもどこでもやり取りできるように。受信時に音や振動で知らせたり、アイコンには未読の数が表示されたりするので、通知を見逃さない

もちろん、メールにはメールなりの良い面もあり、すべてをチャットで済ますというわけにはいきませんが、ビジネスの現場ではチャットツールを導入する動きが加速しています。

ビジネスで利用するチャットツールはどんなのがいいの?

では、どんなチャットツールを利用するのがいいのでしょうか? まずは、プライベートで使い慣れている「LINE」(図2)や「Facebook Messenger」(図3)といったツールを利用するのが1つの手です。

図2:LINEは10代、20代を中心に利用者多数。設定により電話番号経由でつながるので、連絡手段の1つとして考えるのもいい
図2:LINEは10代、20代を中心に利用者多数。設定により電話番号経由でつながるので、連絡手段の1つとして考えるのもいい
図3:Facebook MessengerはFacebookでつながっている人とやり取りするにはうってつけ。Facebookで相手の行動も見えたりするので、対応もしやすい
図3:Facebook MessengerはFacebookでつながっている人とやり取りするにはうってつけ。Facebookで相手の行動も見えたりするので、対応もしやすい

LINEやFacebook Messengerはセキュリティ面で若干不安は残りますが、特に社外の人とやり取りする際は、誰もが使っているという点で有用性は高いツールです。例えば、仕事を依頼したり、すぐに書類を確認してもらいたかったりするときには、相手がオンラインか否かが確認できるので、すぐに返事をもらいたいときには特に便利です。また、相手が読んだか否かもわかるので、メールのように相手が読んでくれたのか、悶々とする必要もありません。

メッセージのやり取りも1対1だけでなく、グループを作って複数の人とやり取りも可能です。同じプロジェクトの人を1つのグループに集めて話し合うのにも有用といえるでしょう。ビジネスで出会った人とつながりを作りたいのなら、LINEやFacebook Messengerを利用しないというのは得策ではありません。

最近、多くの企業が導入しているチャットツールは、以下の点を重要視しています。

  • パソコンやスマートフォンなどさまざまなデバイスで利用できる
  • 特定のメンバーだけの部屋を作ってコミュニケーションできる
  • テキストでのやり取りで使い勝手の良さを重視
  • セキュリティは高い方がいい

どんな場所からでもアクセスできるのは第一条件です。社内からしかアクセスできないといった制約があると、外出先からは利用できず、せっかくビジネスを加速させるためのツールとしては台無しです。そのためにもセキュリティに配慮したツールが求められています。また、作業の進捗状況を確認したり、作業担当の割り振りやプロジェクトに対する意見、アイデア出しなど、テキストで行えばメンバー全員が認識・確認でき、会議のように議事録をとる必要もないなど、使い勝手も企業が重視するポイントです。

人気が高いのは「ChatWork」と「Slack」

企業の導入実績も多く、人気が高いのが「ChatWork(チャットワーク)」と「Slack(スラック)」です。「チャットツール ビジネス」でインターネット検索すれば、2つとも上位に現れます。

必要な機能はすべてそろった国産ツール「ChatWork」

「ChatWork」は、日本の企業が作ったツールで、企業の導入実績は11万件を超えています。「クラウド会議室」とうたうように、メンバー同士の会話だけでなく、指定したメンバーだけが集う部屋をいくつも持つことができ、タスク管理機能も備えるため、プロジェクトの進捗状況を管理しやすいのが人気の理由です(図4)。

図4:ChatWorkのブラウザ版画面。真ん中にメッセージやり取りする場があり、右側にタスク管理などの機能がある
図4:ChatWorkのブラウザ版画面。真ん中にメッセージやり取りする場があり、右側にタスク管理などの機能がある

ブラウザがあればどこからでも利用できるほか、デスクトップアプリやiOS、Androidアプリも用意されているので、どこからでも利用できます。またメッセージの宛先を指定することができ、自分宛てのメッセージには背景に色が付くので、自分に関連するやり取りが確認しやすくなっています(図5)。

図5:宛先付きのメッセージは、背景の色が変わるのであとからも確認しやすい
図5:宛先付きのメッセージは、背景の色が変わるのであとからも確認しやすい

ファイルの添付もブラウザ上にドラッグ&ドロップするだけ。容量は無料プランで5GB、有料プランで10GB用意されていて、1ファイル最大5GBまで添付できるので、メールでは送れないファイルサイズのものでもカンタンに共有できます。

また、音声通話やビデオ通話機能も用意されており、本格的な会議も開けます。通話機能の利用中は画面の共有も可能で、みんなで同じ画面を見ながら会議に臨めます(図6)。テキストチャットとしての機能はしっかり作り込まれつつ、ビデオ会議まで行えるオールインワンなツールといえます。

図6:ビデオ会議は、無料だと1対1まで、有料プランのパーソナルだと4名まで、組織契約だと14名まで同時利用できる
図6:ビデオ会議は、無料だと1対1まで、有料プランのパーソナルだと4名まで、組織契約だと14名まで同時利用できる

IT系企業に絶大な人気。海外発の「Slack」

一方、「Slack」は米国サンフランシスコの企業が2013年に公開したチャットツールで、1日に400万ユーザーがアクセスしているほど利用されています。英語版しかないにも関わらず、アクセス数は北米以外で、イギリスに次いで2番目に日本が入るなどその人気は高いものがあります(図7)。

図7:「Slack」のブラウザ版画面。画面の大半がメッセージのやり取りを行う部分で、左側にはChannel(グループ)やメンバーが並ぶ
図7:「Slack」のブラウザ版画面。画面の大半がメッセージのやり取りを行う部分で、左側にはChannel(グループ)やメンバーが並ぶ

人気の理由はその扱いやすさ。ブラウザ経由のほか、WindowsやiOS、Android、Apple Watchにも対応しており、さまざまなデバイスからいつでもアクセスできます。メニューが英語とはいえ、画面レイアウトは非常にシンプルで、使い方であまり迷うことはありません。

ChatWork同様、グループ(Channel)を設けられ、メンバーを個別に招待できます。チャットのメッセージは基本的に1行で、ファイルの添付はブラウザ上にファイルをドラッグ&ドロップするだけ。LINEやFacebook Messengerのようにアイコンでコミュニケーションもとれるので、LINEやFacebook Messengerに慣れている人はなじみやすいのも特徴です。

図8:URLを貼り付ければ、サムネイルが表示されてわかりやすい
図8:URLを貼り付ければ、サムネイルが表示されてわかりやすい

個別にお知らせをしたいときは、Twitterなどと同じように@付きのメンバー名でメッセージを送信すると相手に通知が届くので、たとえSlackを見ていなくても気が付いてもらえます。全員に知らせたり、部屋ごとのメンバーに知らせたりするのも同様の方法でカンタンにできるので、重要なことを伝えたいときに便利です。また、メンバーがアクセス中か否かも表示されるので、連絡もとりやすくなります。

最大の特徴は、独自に機能を拡張できるところ。有志によって作られたさまざまな拡張機能が用意されており、例えば、TwitterのメッセージをSlack上で読めるようにしたり、Google カレンダーと連携したりと、ほかのサービスと連携することで、より便利に扱えるようになります(図9)。

図9:利用できる拡張機能がSlackのサイトで公開されており、必要なものを選択して導入できる
図9:利用できる拡張機能がSlackのサイトで公開されており、必要なものを選択して導入できる

どちらのツールも無料から利用でき、有料サービスも用意されています。とりあえず無料で試してみて使い勝手を確認してから、正式導入するのがいいでしょう。2つのチャットツールのカンタンな比較表を載せておきます。

ChatWorkとSlackの比較表

ChatWork
対応OSWeb、iOS、Android、Windows、Mac OSX
プランフリープライベートビジネスエンタープライズ
月額利用料(1ユーザー)0円400円500円800円
グループチャット△(14)
メンバーチャット
検索
ログのエクスポート×××
ビデオ会議△(メンバー間)○(4人まで)○(14名まで)○(14名まで)
音声通話
ファイル共有○(5GB)○(10GB)○(10GB/1ユーザー)○(10GB/1ユーザー)
セキュリティ強化×××
グループ管理
タスク管理
機能拡張××××
Slack
対応OSWeb、iOS、Android、Windows、Windows Phone、watchOS
プランFreeStandardPlus
月額利用料(1ユーザー)0ドル8ドル15ドル
グループチャット
メンバーチャット
検索△(直近1万メッセージ)
ログのエクスポート
ビデオ会議×××
音声通話△(メンバー間)
ファイル共有○(5GB)○(10GB/1ユーザー)○(20GB/1ユーザー)
セキュリティ強化××
グループ管理
タスク管理×××
機能拡張△(10アプリまで)

遠隔で共同作業するならSkypeもオススメ

ほかにも、さまざまなチャットツールがあります。例えば「Skype for Business」(図10)。ビジネスにおいて定番ともいえるツールではありますが、テキストによるやり取りよりは、音声やビデオを使って会話することに注力したツールです。在宅勤務でビデオを使って会議に参加する、といった場合には最強といっても過言ではありません。また、ファイルを共有して共同で作業をするといった、かゆいところに手が届く機能も搭載されています。

図10:「Skype for Business」は、単体で契約するほか、Office 365の一部プランを契約すると利用できる。無料版「Skype」もあり最大25人まで同時通話できる(画面は無料版)
図10:「Skype for Business」は、単体で契約するほか、Office 365の一部プランを契約すると利用できる。無料版「Skype」もあり最大25人まで同時通話できる(画面は無料版)

チャットツールは、ビジネスにおけるやり取りを、場所を問わず行え、しかもスピーディに物事を進める鍵となります。ITが発達して、ビジネスにもスピードが求められる時代です。ぜひ積極的に取り入れて活用しましょう!

この記事の著者

飯島 範久(いいじま のりひさ)

フリーの編集・ライター。1992年にアスキー(現KADOKAWA)へ入社し『DOS/V ISSUE』や『インターネットアスキー』『週刊アスキー』などの編集に携わる。2015年に23年務めた会社を辞めフリーとして活動開始。PCやスマホはもちろん、ガジェット好きで各種媒体に執筆している。

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