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2022年4月から中小企業も「パワハラ防止法」の対象に!相談窓口設置の義務化など最低限の対策をチェック

2022年4月から、中小企業も改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)の対象となりました。すべての企業が、相談窓口の設置・研修などを義務付けられています。「まだ何もしていない」「そもそもパワハラ防止法を知らなかった」という企業は、早急に対応していきましょう。

今回は、杜若経営法律事務所の向井 蘭さんに、パワハラの定義や種類、最低限やるべき対策を伺いました。パワハラ危険度がわかる、簡単なチェックリストもご用意しています。もしかしたらあなたも、無意識にパワハラを行っているかもしれませんよ。


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向井 蘭(杜若経営法律事務所 パートナー弁護士)

2003年弁護士登録(第一東京弁護士会)
一貫して使用者側で労働事件に取り組み、団体交渉、ストライキ等労働組合対応から解雇未払い残業代等の個別労使紛争まで取り扱う。近年、企業法務担当者向けの労働問題に関するセミナー講師を務める他、雑誌に寄稿し情報提供活動も盛んに行っている。「時間外労働と、残業代請求をめぐる諸問題」(経営書院 共著)、「社長は労働法をこう使え!」(ダイヤモンド社)、「書式と就業規則はこう使え!」(労働調査会)、「ケースでわかる 実践型 職場のメンタルヘルス対応マニュアル」(中央経済社)


パワハラをきちんと理解しよう。代表的な6パターン

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)とは、以下の3要素をすべて満たすものと定義されます。

  1. 優越的な関係を背景とした言動
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
  3. 労働者の就業環境が害される

「優越的な関係を背景とした言動」とは、職務上の地位が上位の者や、業務上必要な知識や豊富な経験がある同僚または部下からの協力を得なければ、業務を円滑に遂行できなかったりすることです。また同僚や部下からの集団による行為に、抵抗や拒絶することが困難であることも「優越的な関係を背景とした言動」にあたります。

「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」については、業務上明らかに必要性のない言動や、業務の目的を大きく逸脱したもの、業務を遂行するための手段として不適当な言動などです。

そして「労働者の就業環境が害される」とは、身体的あるいは精神的な苦痛により就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどの支障が生じている状態です。

適正な範囲の業務指示・指導は、パワハラには該当しません。パワハラか否かの線引きは、社会一般の労働者が同様の状況で「就業するうえで看過できない程度の支障」と感じるかどうかを基準に判断します。

次に「パワハラの6類型」を確認していきましょう。パワハラの代表的なパターンは、以下の6つに分類されます。

  1. 身体的な攻撃
    蹴る・殴るなど、身体に危害を加えるパワハラ
  2. 精神的な攻撃
    脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言など、精神的な攻撃を加えるパワハラ
  3. 人間関係からの切り離し
    隔離・仲間外れ・無視など、個人を疎外するパワハラ
  4. 過大な要求
    業務上明らかに不要なことや遂行不可能な業務を押し付けるパワハラ
  5. 過小な要求
    能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えないパワハラ
  6. 個の侵害
    私的なことに過度に立ち入るパワハラ

冒頭でも記載しましたが、2022年4月から中小企業もパワハラ防止法の対象になっています。具体的なパワハラ対策として、相談窓口の設置や就業規則への規定などが求められています。にもかかわらず、多くの中小企業で対応が遅れている印象です。

厚生労働省のハラスメント情報サイト「あかるい職場応援団」のデータによれば、99名以下の企業における相談窓口の設置率は44.0%と低い水準に留まりました。

パワハラ防止法には罰則はないものの、パワハラが発覚すれば厚生労働省から勧告や社名の公表が行われる可能性があります。

無意識にやっていない?あなたのパワハラ危険度をチェック

先ほどご紹介した「パワハラの6類型」のうち、職場で特に目立つのは「精神的な攻撃」「過大な要求」です。指導の結果、相手が泣いてしまったり、拘束時間が30分を超えたりするようなケースは、これらに該当すると考えてよいでしょう。

直接的な暴力だけでなく、机をたたく・蹴る、物を投げるのも「身体的な攻撃」にあたります。「人間関係からの切り離し」「過小な要求」の例は、リストラ候補者を一人部署にするといったものです。「個の侵害」は性的指向や病歴の暴露のほか、お弁当や飲み物を買いに行かせる、経営者のペットの散歩をさせるなどの行為も含まれます。

パワハラをしている側は指導している、チャンスを与えていると思っていて、無意識に行っていることもめずらしくありません。「これはパワハラなんだ」と自覚を促すのにぜひ活用していただきたいのが「職場環境チェックリスト」です。経営者や役員がパワハラをしていて指摘が難しい状況でも、チェックリストなら導入しやすいでしょう。

【職場環境チェックリスト】
過去1年間に起きた、できごとや自らに当てはまる項目をチェックしてください。
・部下を立たせたまま指導をすることがよくある
・部下を「お前」と呼んだことがある
・部下に対して「給料泥棒」と言ったことがある
・部下が自分に対して反論や異論を述べたことはほとんどない
・配属6か月以内に部下が退職したことがある
・労働法上はともかく男性の育休は理解できない
・業績が良い人は何をやってもできる人だと思う
・ハラスメントについては「我が社はない」と言い切れる
・自分は論理的だと思う

  (チェックが多いほど、パワハラをしている可能性が高くなります)

チェックリストでパワハラに気付けたとしても、それまで無意識であればなおさら、根本的な改善には時間がかかります。すぐにパワハラを減らすためにできる対策としては、ひとまず「ワンクッション置く」のがおすすめです。例えば、部下を直接指導している場合は、だれか人を介して伝えるようにしてください。

接触を少なくするだけで、パワハラは減っていきます。なぜなら、6類型のうち「身体的な攻撃」は確実になくなるからです。実際、テレワークの浸透によりパワハラは減少しました。

まずは相談窓口の設置を。専門家に頼めばしがらみナシ

パワハラ防止法で企業に義務付けられた措置は「事業主の方針などの明確化・周知」「体制の整備」「事後の適切な対応」の3つです。方針の明確化・周知は、パワハラに関する研修の実施や就業規則への規定などを指します。体制の整備とは、相談窓口を設置して担当者が適切に対応できるようにすることです。事後の適切な対応としては、配置転換や懲戒処分を実施する必要があります。

3つの措置を講ずる際は、相談者・行為者のプライバシーに配慮してください。合わせて、相談や事実関係の確認への協力を理由とする解雇などの、不利益な取り扱いはないと規定・周知しなければなりません。対応の順序はまず相談窓口を作り、できれば最初に経営者・管理職、その後従業員に研修を行い、就業規則に規定する流れがスムーズです。

これらの措置は、実はそれほど難しい作業ではありません。「あかるい職場応援団」をはじめ、さまざまなサイトから導入マニュアルや研修用の資料・動画を無料で入手できます。ただし、強い権力を持つ人がパワハラをしている場合などは、担当者にかかるプレッシャーも相当のものです。やりづらさを感じるときは、専門家に依頼するのもよいでしょう。外注のメリットは、社内のしがらみを気にせずに済む点です。

弁護士・社会保険労務士以外に、パワハラ専門のコンサルタントに頼むという手もあります。すべてを任せなくても、研修講師だけ呼ぶといったやり方も可能です。本来は従業員同士でパワハラについて話し合って悩み、試行錯誤しながら進めるのがベストなので、自社の状況を見ながら活用を決めることをおすすめします

経営者や役職のある人物は、パワハラ対策に積極的でなかったり、自分の会社には関係ないと考えている人が多い傾向があると感じます。しかし、新卒社員などの若い世代はこの問題に敏感です。パワハラ防止法がすべての企業に義務化された今、早急な対応が求められています。

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