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給与をPayPayやメルペイで支払える!?導入で手数料や運用コストが削減できる給与デジタル払いとは

PayPayやメルペイをはじめとするデジタルマネーを使うサービスが一般的になったことを背景に、厚生労働省では給与デジタル払いの制度化を検討しているそうです。

企業にとって給与デジタル払いの実施は、外国人労働者をはじめとした優秀な人材の確保がしやすくなるといった大きなメリットもあります。給与デジタル払いを導入すれば、日本国内に銀行口座がない段階でも外国人労働者を雇用しやすくなるのです。また、スポットで業務を依頼する季節労働者などに短期的に給与を支払うのにも、振込口座登録などが不要で事務処理負担軽減につながります。

しかし、給与デジタル払いと言われても今一つピンとこない方も多いと思います。そこで今回は給与デジタル払いの概要や現状、メリットとデメリット、導入方法などについて、ファイナンシャルプランナーの風呂内 亜矢(ふろうち あや)さんに解説してもらいました。


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風呂内 亜矢

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者。SIer勤務の独身時代に貯蓄80万円しか持たずマンションを購入したことをきっかけに、お金の勉強をスタート。システムエンジニアの経験から、キャッシュレスなどのテクノロジーを使った家計改善を得意とする。現在はテレビ、ラジオ、雑誌などの他『つみたてNISAの教科書(ナツメ社)』、『「定年」からでも間に合う老後の資産運用(講談社新書)』など20冊以上の書籍を通してお金に関する情報を発信している。YouTubeチャンネル『FUROUCHI vlogでは日記に交えてお金のTipsを伝える表現に挑戦中。

電子マネー普及を背景に注目が集まる「給与デジタル払い」とは

――給与デジタル払いとは、どのようなものなのでしょうか?

本来、給与は現金で支払うのが基本原則です。1)現金を用いて、2)直接、3)全額、4)月1回以上支払うことがルールであり、銀行の振込は例外として認められています。これに加え、資金移動業者の口座を使った受け渡しも例外として含めようとする動きが、給与デジタル払いです。

資金移動業者の具体的な選択肢としては、PayPayやメルペイ、LINE Payなどいわゆる「〇〇Pay」と呼ばれる二次元コード決済サービスを提供している事業者が挙げられます。2021年、SoftBankが「ニューノーマル支援特別一時金」として全社員に10万円をPayPayで支払いました。PayPayはグループ企業のしくみであること、給与ではなく一時的な手当であったことなどから、スムーズに実施できたと考えられます。しかし、その他の企業については手当などの支給事例はまだ少ないこと、そもそも制度の整備に時間がかかっていることなどから、本格的な導入までにはまだ時間がかかると考えられます。


――給与デジタル払いでは、どのようなITツールの活用が一般的になりそうですか。

給与デジタル払いを実現するためには、PayPayやLINE Payなどの二次元コード決済サービス、あるいはアメリカなどで使われているペイロールカードと呼ばれる、事前にチャージして使うサービスなどが候補になりそうです。

Suicaなどの電子マネーが選択肢になり得るという話もありますが、現時点では上限額が低い点が課題です。実際に利用するためには、上限額を上げるなど、ルール変更が実施されなければ難しいかもしれません。


――給与デジタル払いにおける、給与の支払い方法と受け取り方法について教えてください。

原則的には、労働者が希望する決済サービスに企業側が給与を振り込むことで、給与デジタル払いが実現します。しかし、現在の銀行振り込みによる給与の支払いにおいても、勤務先から「〇〇銀行の口座を開設してください」と推奨されることは多いです。

給与デジタル払いにおいても、企業側の対応できるやり方で選択肢が限定される可能性はあります。例えば企業側から「PayPayが選べます」と指定されるシーンも出てくるのではないでしょうか。デジタル払いを選ぶのか、これまで通り銀行振り込みを選ぶのか、といった選択をしていくことになるかと思います。


――給与の半分が銀行振り込み、半分はデジタル払いなどに対応している企業もあるのでしょうか?

現状、給与デジタル払いは本格的に解禁されていないので、近い内容を実施している企業はテストケースとなり、そういった事例はまだ聞きません。ただ現状でも、交通費など労働者が立て替えた経費を振り込む口座が、給与の振込先の口座と分かれていることも多いので、給与は銀行振り込み、経費はデジタル払いといった使い分けも、今後出てくるかもしれませんね。


――給与以外の報酬や謝礼などのデジタル払いも現在検討されているのでしょうか?

しくみさえ整えば、給与以外の報酬や謝礼をデジタル払いにできる可能性はあります。実運用を考えると、従業員の給与よりもフリーランスなどに謝礼を支払うケースのほうが、デジタル払いとの相性は良いと思います。

フリーランスなどの報酬は単発の案件もあるので、毎月支払いが発生するわけではありません。また支払先の銀行口座もバラバラですから、企業側の振り込み手数料がかさむ側面もあります。そういった意味では、デジタル払いによって手数料が軽減できる可能性があり、メリットは高いでしょう。そのため、制度的に成立すれば実現性は高いと思われます。

コスト削減につながる?給与デジタル払いのメリット・デメリット

――中小企業が給与をデジタル払いにすると、どのようなメリットがありますか?

もともと給与デジタル払いは、海外から来た労働者は日本の銀行口座を作るのが難しいため、スムーズに給与を支払うしくみとして検討が進められてきた施策という側面があります。そのため、既に銀行口座を持っている人が感じるメリットは、やや少ないかもしれません。

キャッシュレス化の流れがあることや、給与を受け取る方法の選択肢が増えることは間違いないのですが、通常の給与を受け取っている人、皆が即座に便利になるとは考えづらいでしょう。しかし、既に二次元コード決済サービスを利用している人であれば、クレジットカードやコンビニでのチャージをしなくてよくなる点はメリットと言えそうです。

また、給与デジタル払いに期待される効果として、1週間に1回や日払いなど、頻度を上げた支払いが可能になるというメリットがあります。2万円などの上限でも、その日その日の支払いであれば対応できるため、日雇い労働などには向いているかもしれません。

家計の観点では、建て替えの口座を分けてそちらを貯蓄にまわせますから、お財布を分けられるというメリットも期待されます。自分で分けるのではなく、自動的に分岐されて振り込まれれば、家計のお金の流れを設計しやすくなるでしょう。

一方、会社側のメリットとしては、銀行の振込手数料が抑制できる可能性が挙げられます。実際の導入において、決済事業者各社の手数料がどのような費用体系になるか不透明な部分もありますが、現時点の手数料の構造を考えると、相対的にコストを抑えられるのではないかと期待されます。

全社で1つの二次元コード決済サービスに統一できれば、手数料や運用コストも削減しやすくなります。


――給与デジタル払いを導入するデメリットはありますか?

資金移動業者の補償やセキュリティ面に対する不安が、企業および労働者の双方にあります。銀行には預金保険があり、銀行が破綻した場合、1つの口座につき1,000万円まで保護されますが、資金移動業者にはそういったしくみがありません。銀行の預金保険は国の制度として金融機関が保険料を出し合って構築しているしくみのため安心感があります。そのため、資金移動業者自身がどこまで補償するのか、支払った企業側がどの程度担保するのかというルール決めが大切です。

セキュリティはどこまでいっても100%にはなりませんが、二次元コード決済サービスは運用実績がまだ少ないので想定外のシーンなども起こるかもしれません。給与デジタル化ではなく、単純な個人の決済においても、二次元コード決済では補償の体制が徐々に充実してきた背景があります。銀行やクレジットカード会社の運用の経験値が多いことへの信頼感は確かに高いのですが、新しい方法においても安心できる体制作りが積み上がっていってほしいですね。

給与デジタル払いにはサービス導入が必須!まずは業者に相談を

――給与デジタル払いを実施する場合には、具体的にどのようなソリューションを導入したり調整したりする必要がでてくるのでしょうか?

まず、従業員がどの決済サービスを利用したいのか把握することが重要です。「給与デジタル払いに対応する場合、どのサービスなら便利ですか?」とアンケートを取っておくとよいでしょう。対象になるサービスを絞りこんで、該当する業者へ相談する流れになると思います。

業者に依頼すると、法人の口座と連動した入金のしくみなどを構築してもらえるでしょう。今、生活の中で利用されている二次元コード決済サービスでの送金は個人間で利用するサービスで、企業から個人への送金にそのまま使うことはできません。そのため業者に依頼し、デジタル払いのパッケージ的なものを導入する必要があります。

二次元コード決済サービスごとに取り扱い画面が別になってしまうと、導入や運用もそれぞれに対応したものが別々に必要となります。複数サービスを一括で操作できるしくみが整うことも期待されますが、カバー範囲が広いシステムは導入コストが高くなることも多いです。企業側としては、導入するサービスの優先順位を予め確認しておくことで、判断の助けになります。


――給与デジタル払いはすぐに普及しないと思いますが、今後、中小企業に普及するのはいつぐらいになると予想されますか?

給与デジタル化に限らず新しいサービスは「便利だね」という人が増えれば、加速度的に浸透する傾向にあります。したがって給与デジタル払いについても、解禁後に便利さを実感する人が増えたとき、一気に盛り上がるのではないかと考えられます。しかし、明確にどのくらいの時期になるかについては、現時点で予想するのは難しいですね。

今でこそ日本のキャッシュレス化はかなり浸透してきましたが、ここまでに多くの時間がかかっています。PayPayのキャッシュバックや新型コロナウイルス感染症の影響で、急速に普及しはじめた状況です。給与デジタル払いも、手数料が安く即日入金できて分かりやすいしくみが実現して、中小企業側が利用メリットを感じれば、普及していくのではないかと思われます。

日本でキャッシュレスがなかなか普及しなかった理由は、諸外国に比べ銀行のインフラが安心して使えたため、不便を感じる人が少なかったことにあります。給与デジタル払いも日本にクリティカルな問題がない中、今後どのように浸透していくかを考えると、なかなか厳しい道のりになるかもしれません。

株式会社ワークポートが実施した「給与のデジタル払い」についてアンケート調査によると、まだ6割弱の人々が認知すらしていない状況だったそうです。しかし、新しい情報やキャッシュレス決済を使いこなす従業員ほど、給与デジタル払いを希望するケースなどが出てくるかもしれません。動向をウォッチするためにも、アンテナを高く持っておく必要がありそうです。

著者:弥報編集部
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