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販売のニューノーマル/Zoomを活用した「オンライン接客」とは?【IKEUCHI ORGANIC株式会社】

小売業や飲食業は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたこともあり、急速な業態の変革が求められました。アパレルなどの小売業においては、Zoomなどを活用した「オンライン接客」に取り組む企業が現れています。

とはいえ、オンライン接客を実際に行っている企業はまだ少なく、興味はあるもののどうしたら良いか分からないというのが正直なところでしょうか。

そこで今回は、新型コロナウイルスの影響が出はじめた2020425日から他社に先駆けて「IKEUCHI ORGANIC オンラインZoomストア」というオンライン接客専用の店舗を展開している、IKEUCHI ORGANIC 株式会社の営業部部長・タオルソムリエである牟田口 武志(むたぐち たけし)氏に、オンライン接客についてのお話を伺いました。

牟田口 武志(IKEUCHI ORGANIC株式会社 営業部部長)

大学卒業後、映画制作会社に入社。CCC、アマゾンジャパンを経て、2015年7月にIKEUCHI ORGANICに入社。現在は店舗、ECの直営部門と国内外の法人部門を統括。2019年2月にオウンドメディア「イケウチな人たち。」を立ち上げる。タオルソムリエの資格も保有。オンライン接客も挑戦中。IKEUCHI ORGANIC

オンラインZoomストアとは

――まず、御社が展開されている「IKEUCHI ORGANIC オンラインZoomストア」が、どのようなサービスなのかご紹介いただけますか?

オンラインZoomストアとは、Zoomを活用して直接お客さまとコミュニケーションをとりながら、お客さまが求めている商品をスタッフが提案してご購入いただくサービスです。もともとは、実店舗が新型コロナウイルスで休業したときに始めたサービスでした。

オンラインZoomストアは開店前や閉店後の休業している店舗からつなぎますので、背景はお店になります。お客さまと会話をしながらお客さまから「こういうタオルが好みです」とお話された場合は、売り場から商品を取ってきてそれを画面上にお見せすることも可能です。

当初は、商品の質感をオンライン上でお客さまに伝えるのに、とても苦労しました。現在はPCでつなぎながらiPhoneのカメラで拡大し、パイルの表面が見やすくなるように工夫するなど、できるだけ画面でも伝わりやすいようにコミュニケーションを図れるようつとめています。

スタートしたのは、お店の休業が決まった際に弊社のコアなお客さまから「休業中も、スタッフや社員の方たちとコミュニケーションが取れるサービスを展開してもらうことはできませんか?」と要望をいただいたのがきっかけです。

なかなか気軽にお店に行けない状況となったものの、いわゆる通販で購入するのではなく、店舗スタッフとコミュニケーションをとりながら商品を購入したい、というお客さまのニーズからオンライン接客は始まりました。ちょうどそのころ、新型コロナウイルスの影響を受け、今後どのように展開するべきか考えていたタイミングでもありましたから、お客さまの要望と重なったことで「やってみよう」とサービスをスタートさせた形です。

――オンラインZoomストアを始めた際、メインターゲットはどのように想定していましたか?

当初は、普段お店に来てくださっているリピーターのお客さまがメインになると考えていました。Zoomを使ったオンライン接客ということで、いきなり新規のお客さまとオンラインで会話するのはお互いにハードルが高いと感じていたからです。

何も知らない状態でオンライン予約をして、話すというのはやはり緊張する方も多いと思います。また、弊社のお客さまは40代から50代、60代といった方が多いので、Zoomの使用経験がないことを前提にフォローしながら進めていこうと考えていました。

オンライン接客とリアル接客の違い

――リアルな接客にはない、オンライン接客ならではの特徴などはありますか?

オンライン接客では、お客さまはご自宅からつなぐことがほとんどです。そのためお客さまが普段どういったタオルをお持ちで、どういうタオルが好きか、どのように使用しているかを実際に画面で見せていただくことが可能です。

そういったプロセスを経ながら「それなら、この大きさがいいですよね」というように、お客さまがご自宅で実際に使用されている様子を伺いながら最適なタオルをお探しできるのが、このサービスの特徴といえるでしょう。またご自宅からつなぐことで、お客さまも心を開きやすくなる効果が出ているようにも感じています。

お店の場合は売り場があってサンプル商品もたくさんあるので、それをご案内しながら実際に触って、感触を確かめていただいくことが可能です。ですが、オンラインではそういったご案内ができません。

そのような状態下であっても、一番大切にしたいのはお客さまが思い描かれている商品をご提供する、ということ。そのためにはお客さまと会話を重ねて、言葉や表情などから詳細にニーズを把握することが重要です。これはオンラインでも、リアルな接客でも共通している私たちの基本姿勢です。

お客さまがイメージしづらい場合には、例えば「子どものとき、どういうタオルが好きでしたか?」といった聞き方をしています。その場で「今、家にあるこういうタオルが好きです!」と持ってきていただくこともあります。このような経験を重ねながら、オンラインでもお客さまとコミュニケーションが図れるようになっていった感じです。

――「オンラインZoomストア」では、既存のお客さまではなく新規のお客さまによる利用も多いとお聞きしたのですが、その理由をどのように分析されていますか?

1つめは、オンライン接客を始めたタイミングがとても早かったことにあると考えています。おそらくその当時、他の企業でやっているところが数えるくらいしかなくて、そのタイミングでPRしたことでメディアからも結構取材をしていただきました。その記事がきっかけになった部分も大きいと思います。

2つめはオンライン接客を体験したお客さまが、その体験をクチコミで発信してくれたことでしょう。そこから一気にSNSなどで拡散して、私たちが想定していなかった20代や30代のお客さまが一気に増えたことが挙げられますね。

その結果、今は新規のお客さまがほとんどです。また、オンラインZoomストアの年齢層も20代・30代と弊社の通常のお客さまと比較して若めになっています。日常的にITに触れていて、オンライン接客でも臆することなく入ってこられる方々が中心となっている印象です。

これは推測ですが、まったくIKEUCHI ORGANICを知らない方というよりは、もともと気になっていたお客さまが来店してくださっているのではないかと感じています。弊社が2018年秋から展開していたnoteや、翌年2019年に開設したオウンドメディア「イケウチな人たち。」などを見て「気になってはいるけど、買うきっかけがない」と感じていた方が、オンラインZoomで来店されているのではないか、と。「オンライン接客なら、のぞいてみよう」「試しに買ってみよう」と、お客さまから連絡をいただくケースが多かったように思います。

――お客さまがSNSで御社のオンライン接客について投稿してくれたことで、若い人たちにも拡散し、この結果につながったわけですね。

オンライン接客自体、40分間をそのお客さまのためだけに使います。ですから、お客さま自身も特別な時間として感じてくださっているようです。また、弊社代表の池内が同席してモノづくりの話をするなど、通常の店舗での接客とは違ったプレミアム感があるのも大きいでしょう。クチコミで、とても長い感想を書いてくださるお客さまも多いです。こうした理由もあって、クチコミで広がっていったのかなと感じています。

――オンライン接客の時間は予約時に「40分」と書かれており、接客としては「結構長いな」という印象を受けました。

弊社の場合は実際の店舗でも、お客さまとコミュニケーションを取りながら接客するケースがほとんどで、接客時間は30分以上かかるお客さまが多いです。ですので、体験されたお客さまは「長いというよりも、あっという間だった」と感想をいただくことの方が多いです。

お使いいただいている年齢層でいうと20代から30代の方が圧倒的に多く、全国で見ると東京都内が圧倒的に多かったです。理由としては、ITを活用する方が多いことが考えられます。北海道から沖縄の方まで体験してもらったのですが、やはり都内や首都圏の方の利用が多かったですね。

――オンライン接客をきっかけに、リアル店舗へ来店されたお客さまは多いのでしょうか?

オンラインで接客することで、「直接お店に行きたい」とか「商品を実際に触りたい」という方が増え、都内に住んでいる方はそこからお店に来てくれたケースが多かったです。

Zoom接客は、1回で終わりではありません。お客さまのところに商品が届いた後も、個別に店長が「どうでしたか?」といったコミュニケーションを取るようにしているので、その後もお客さまとの関係は続いていきます。

そういった関係性構築を続けた結果、かなりの数のお客さまがお店まで実際に来てくださいましたし、オンラインでも継続して商品を購入してくださっている状況です。

――オンライン接客で購入しなかった場合でも、例えばそこから来店して購入につながるケースもあるのでしょうか?

オンラインZoomストアでは、9割くらいの方が購入されます。買わなかった方も「ちょっと検討します」「後からオンラインで購入するから」といったケースがほとんどです。

一方、ビジネス誌に多数取り上げられたこともあり、オンライン接客を自社に取り入れたい企業の方からのヒアリングで来店される方が続いたこともありますが、それ以外は、純粋なお客さまのご購入なので100%に近いですね。

――海外からの問い合わせはありますか?

そこまで多くはありませんが、月に12本はBtoBの取り引きやBtoCでも購入したいという話は伺いますね。現在、海外とは10か国以上の法人取り引きがあり、サイトで見ると100か国以上からアクセスがあります。とはいえサイト全体のアクセスの比率からすると、まだ数パーセントです。Amazonに出していることもあり、問い合わせはそこを経由してオンラインで連絡が来ます。

一方オンライン接客のほうでは、外国人のお客さまの来店はまだありません。実際、外国人のお客さまに対応するとなると、言語のやり取りや決済など課題が大きいと認識しています。

――オンライン接客で来るお客さまは、自分用かギフト用のどちらが多いですか?

オンライン接客も自分用が6割くらいで、お店の割合とあまり変わりません。クリスマスの時期などはギフト用の割合が増えます。

オンライン接客でおもしろいのは、自分の両親に送る商品を選ぶ際「自分だけでは分からないので親も一緒につないでいいですか」というケースがあることです。これがオンラインの良さだと感じています。全国各地の友達同士をつないで「出産祝いどうしようか」と4人くらいのお客さまをオンライン接客したこともあります。これは想定していませんでしたし、非常に可能性を感じました。

オンライン接客の注意点

――オンライン接客を実施する際、押さえるべきポイントなどについてお話を聞かせてください。まず、実際の接客の流れを教えていただけますか?

最初はお客さまから申し込みをメールでいただき、アンケートを実施します。「どういうものをお探しですか?」「IKEUCHI ORGANICの商品使ったことはありますか?」「ご予算はいくらくらいですか?」といった質問をいくつか投げかけます。その回答に応じて、当日の対応内容を最適化しています。

IKEUCHI ORGANICをまったく知らないお客さまに対しては、「弊社はこういう会社で、こういった商品を販売しています」という部分から入ります。しかしある程度弊社に関する知識があり、欲しい商品も決まっているといったお客さまに対しては、商品をいくつか持ってきて特徴を話しながらコミュニケーションをとっていきます。

またオンライン接客ではあるのですが、購入自体は実はアナログで実施しているというのが、弊社の特徴の1つだと思います。お客さまがオンラインで購入まで完結させるのではなく、その場でご要望をお伺いしてその後、メールなどで振込先などをお知らせする流れです。

理由としては、お客さまがオンラインだけで商品の選択から購入まで完結させるよりも、弊社のスタッフが、そのままやり取りをさせていただいた方がWebサイトで買い方が分からないなどのストレスを与えることなく、お客さまにも喜んでいただけると考えたからです。

そうであれば、アナログでやり取りさせていただく方法でお客さまには要望を伝えていただき、その後でスタッフとコミュニケーションをとったほうがお店での接客に近いと感じました。ですので実は購入されたほとんどの方が、オフラインで決済していただいています。

もちろん「オンラインで、そのまま買います」というお客さまに対しては、そのままWebサイトへ誘導する流れを作っています。支払いは振込が基本、クレジットの場合はWebサイト経由となります。

――オンライン接客をするために必要な機材を教えてください。

PCとiPhone、ヘッドセットやWi-Fiなどのインターネット環境を整備するくらいです。一応PCとネット環境は新調して整えたりはしましたが、必要な機材はそれほど多くないですね。

iPhoneを使う理由は、商品の質感を伝えるにはこちらのカメラのほうが手軽だったことです。また、照明の場所や状態などが違う場所で商品を写すことで、お客さまにとってもより分かりやすくなるというメリットがあります。

ちなみに、照明に関してはもともとお店も自然光が入りやすい場所ですから、普段はそこまで意識していません。ただ、夜は若干照明によって色が変わって見えるため、その場合は商品の紹介ページにURLをお送りして確認してもらうようにしています。

――オンライン接客をする際に、気を付けるべきポイントはありますか?

オンライン接客は、実はだれにでもできるものではありません。やはり店頭の接客と同等か、それ以上にお客さまに気を使う必要があるんですね。

まず大前提として、おすすめする商品を自分が「すごく好き」であるかどうか。そして、お客さまにその商品の魅力をきちんと伝えられるかどうかがポイントです。

次にオンライン接客では、お客さまが商品を実際に触って体感できないデメリットがありますから、言葉の使い方が非常に難しくなります。リアルであれば商品を触って「あ、こういう触り心地なんですね」と分かってもらえるのですが、Zoom上では分かりません。

そのためオンラインでも伝わる共通言語を探すなど、弊社のスタッフも工夫をしています。例えば、柔らかいタオルであれば「パウダースノーのような肌触りです」といったような感じです。女性の店長の場合には、ケーキに例えて話たりすることもあります。「ミルフィーユみたいな感じですよ」など、比喩といいますか、他の言葉を使って、お客さまがイメージしやすいように言葉を選びながら説明しています。

――オンライン接客を始める前に、御社内で事前ロープレなどは行ったのですか?

いえ、そこは早くスタートするほうが大事だと思っていたので、「とりあえずやってみよう」「お客さまの反応を見てみよう」と。実際に行ってみて、毎回課題を洗い出して「こういう伝え方がいいよね」という改善を日々繰り返していきました。初めのうちは回線が途切れてしまったり、商品がきちんと映らなかったりしたこともあったようです。

慣れない環境下で手探りでしていたから、お客さまにも不具合がでる可能性があることを理解いただきつつコミュニケーションを取っていたので、大きく信用を損なうこともなく接客することができたと感じています。

――オンライン接客におけるNGポイントがあれば教えてください。

お客さまにプレッシャーを与えないことだと思います。特にZoomを使って初対面で接客する場合、買わなくてはいけない雰囲気を出してしまうと、それはもう良質な顧客体験ではありません。そのため最初の段階で「買わなくても大丈夫です」とお客さまに伝えるようにしています。

オンラインは手軽なイメージがありますが、だれにでもできるわけではないので、単純に「オンライン接客流行っているから、やろうぜ」みたいな感じで始めると、間違いなく失敗すると思います。お客さまと信頼関係を構築しながらコミュニケーションが取れる方でないと、オンライン接客の実施はなかなか難しいでしょう。

――オンライン接客とリアル接客で、客単価などの違いはありますか?

客単価は、2倍以上オンライン接客のほうが高いです。

特に、オンラインストアをスタートした当初は夏場だったこともあり、タオルケットを買いたいという需要がありました。また、巣籠りで家の中のものを充実させたいというニーズが非常に高かったので、まとめてタオルを買う方も多く、客単価アップの要因となったと感じています。

――先ほどオンライン接客は「だれでもできるわけじゃない」とお話されていました。属人的になり得るとも考えられるのですが、運用は大変ではありませんか?

そこは課題ですね。現在も対応可能なスタッフは1名~2名となっています。しかし、そこを広げられるかというと、今もお店が営業していない営業前か営業後になるため、属人的な傾向は確かにあります。

大きな会社であれば、配置転換などで多くのスタッフをアサインできるかもしれませんが、弊社はそこまでたくさんの人員は確保が難しいのが現状です。運用は確かに大変ですが「とりあえず」と人数を増やすよりも、弊社らしい接客を誠実に継続することが、お客さま満足につながっていくと前向きに考えています。

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