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ネットショップ開設事例!サイト作りから集客まで【幼児食宅配サービス・homeal株式会社】

店舗経営者の方々を中心に「ネットショップ(ECサイト)を始めてみたいけれど、方法がよくわからない」という声が増えています。コロナ禍をきっかけに、リアルにとらわれない販売は急速に増えていますが、実際にどのように運営していけばいいのでしょうか。

homeal株式会社の鬼海翔氏は、自身のお子さんの乳児湿疹をきっかけに、幼児食宅配サービスを立ち上げました。リアル店舗は持たずネットショップでのスタートで、開設から1年未満にも関わらず順調にユーザーを増やしています。

今回はhomeal株式会社のネットショップ作りや集客の秘訣について、具体的にお話を伺いました。これからネットショップを開設したい方にも、今すぐ使えるノウハウが満載です。

homeal 株式会社 鬼海 翔 氏

早稲田大学商学部を卒業後、2010年に組織人事コンサルティング会社へ新卒入社。自動車・家電・飲料・金融などの大手企業クライアントを中心に次世代リーダー育成や組織変革プロジェクトを推進。2016年に社内起業家として新規事業の立ち上げ、および事業統括に就任。その経験を活かし新規事業コンサルティング部門の責任者 兼 ビジネスデザイナーとして、約50社及び100件程の新規事業・インキュベーションを支援。2019年に幼児食宅配サービスを展開するhomeal株式会社を創業。サービス開始4か月で1万食を達成するなど急成長を続けている。3歳の息子がいる一児の父。

探しても見つからなかった「冷凍幼児食」のサービスを自ら立ち上げ

――まずhomealを起業した経緯を教えてください。

2019年の5月頃、うちの子供が乳児湿疹という肌の病気になったんです。当時は会社勤めで朝から夜遅くまで仕事をして、離乳食も作ったことがないというような父親でした。病気と向き合うことで、子供の健康を守るためには食べるものが大事だと気づいたんです。

そのとき初めて、自分の子供が食べている食事が「幼児食」というものだと知りました。幼児食とは1歳半から6歳までの食事のことで、この時期の食事や噛む習慣がベースになって脳が完成されていくと言われています。

そこで幼児食のサービスはないかなと探してみたところ「これを使いたい」というものは一つもありませんでした。それなら、自分の理想とする幼児食のサービスを作ってみようと考えたというわけです。

 ――お勤めの時代から、いつか起業したいなという気持ちはあったんですか?

当時は新規事業コンサルティングの仕事をしていて、いつかは自分も起業したいなとは思っていました。食品関連のコンサルも行っていたので冷凍食品に関する知識はありましたし、それがhomealの「冷凍幼児食」というサービスにつながった感じですね。

――起業しようと決めてから20201月のサービス開始まで、準備はどのように進めましたか。

アイデアを着想してから20197月までの3か月で、幼児食というサービスが本当に求められているのかの検証活動を行いました。その中で需要があると確信したので、まずはクラウドファンディングをやろうと。会社を登記してから1012月の3か月間「Makuake」で先行発売を行ったところ、好意的な反応を多くいただいたため、20201月から本格的にオンラインショップを開きました。

サービスを開始する上で大きかったのが「冷凍王子」として各メディアで活躍されている冷凍食品開発コンサルタント・西川 剛史氏の存在です。ネット検索で食の専門家を調べ、一番お会いしてみたいと思ったのが西川氏でした。

サイトから問い合わせメールを送ってアポを取り、すぐに意気投合。その場でアドバイザー就任の申し入れをしました。西川氏が持っている冷凍工場のネットワークや品質管理の専門家・管理栄養士などあらゆるリソースを集約することで、サービスを立ち上げることができたと思います。

――資金調達はどのように行ったのですか?

今後、株式の調達を行う予定はあるのですが、今は内部資本だけです。そのほかに日本政策金融公庫と銀行からそれぞれ借り入れをしました。

「ネットショップの立ち上げってどれくらいお金がかかるんだろう」と気になる方も多いでしょうけれど、今は新型コロナウイルス対策もあって借り入れ自体はしやすいと思います。そのかわり、着金に少し時間がかかるかもしれませんね。

中小企業や個人事業主なら、ASPでのネットショップ開設がおすすめ

――ネットショップはどのように制作したのでしょうか?

ネットショップを開設するにはASP(ブラウザ上でシステムの構築から運用、管理までできるサービス)のほかフルスクラッチ(自らイチからシステムを制作すること)やパッケージ(必要なサービスが最初から用意されているサービス)などの方法がありますが、自前で作れるものをということでひとまずASPの中から「BASE」を選びました。

エンジニアもいなかったため、ノーコードでできることが前提だったからです。まずは幼児食というサービスが世の中に受け入れられるのかどうかの検証サイトをイメージしていたので、「早い」「安い」「自分たちで運用できる」という点が決め手となりました。

その後、子供の栄養バランスや生活習慣を見極めておすすめメニューをカスタマイズする「幼児食診断」というコンテンツを始めたため、「Shopify」という別のASPに移しています。BASEではシステム的に難しかったので。

現在のネットショップの制作は専門の開発会社に依頼し、費用で言うとおよそ200万円ほどかかりました。ネットショップだけでなくwebサイトもセットですし、フルスクラッチでゼロから作るよりかなり安いと思いますよ。

10名前後の中小規模の会社や個人事業主の方なら、やはりフルスクラッチなどよりASPが良いでしょう。月商1,000万円までだったら、開発の費用や時間はなるべくかけないほうがいいと思いますね。

例えばBASEなら、その日のうちにネットショップを開設することも可能ですし、もし専門業者に制作を依頼したとしても、おそらく1週間くらいでできるのではないでしょうか。まずは「自分たちが売ろうとしているものが、どれぐらい世の中に広がる可能性があるのか」という見込みを立てる場として利用すると良いと思います。

――ネット初心者でも開設できますか?

作るだけなら本当に簡単で、無料で開設することもできます。ただ、売れるかどうかとなるとまた別ですよね。

例えばBASEには現在、約10万のショップがあると言われています。広い海の中にポツンと放り込まれるようなものですから、見つけてもらう努力をしなければならない。日本全国、どこにいるかもわからない未来のユーザーさんに来てもらおうと思ったら、そのためのフックはどうしても必要です。

そして、商標は絶対に取ったほうがいいですね。類似のサービスが出てきたときに、トラブルになりかねませんから。homealの場合は商標事務所に申請の代行を依頼して、費用は78万円といったところでした。

広告はゼロ。オンリーワンのサービスとクチコミで人を集める

――ネットショップへの集客はどのように行っているのですか?

homealがラッキーだったのは、幼児食という市場がまだ世の中になかったことです。今も「幼児食 宅配」とネット検索すると一番上に出てきますが、実はSEO対策は何もやっていません。広告も使っていなくて、今まで来てくれた方は検索流入がほとんどですね。

そしてユーザーが増えていったのは、人が人を連れてくるというクチコミがすべてだったと思います。やはり親御さん、特にお母さんたちのネットワークはすごいですよ。

2020年2月に政府から休校要請が出ましたよね。でもソーシャルワーカーと言われる医療や、福祉に従事する人たちは簡単に仕事を休むことができない。そこでhomealとして何かできないかということで、300世帯向けに商品の無償提供プログラムを用意しました。

当時はSNSも利用しておらず、ホームページのプレスリリースに情報を出したのみです。にもかかわらずあっという間に人が集まり、その日のうちに募集をクローズしました。これもネットワークの力ですが、逆にいうと悪い噂も一瞬で広がってしまいます。だからこそ誠実に、嘘のないサービスを提供しなければと思いました。

結局、人を増やすためのテクニック的なことより、プロダクトの質が重要なのではと思います。これまでベビーフードや幼児食は美味しくないというイメージを持たれていましたが、homealの場合は味はもちろん、大人が食べても美味しい、という点を徹底的にこだわりました。

ほかのショップではできない体験を、homealではできるわけです。また、美味しくなければリピートもしてもらえませんしね。どんなに栄養があったとしても、子供がイヤだと拒否したものを再度購入する親御さんはいないでしょう。

――立ち上げからこれまでに何か苦労されたことはありますか?

最初は自分たちで商品の発送をしていたため、冷凍ストッカーを用意して部屋をキンキンに冷やさなければならず大変でした。でも、どんな商材であっても月商200万くらいまではそれでいいと思います。

むしろ、ある程度の注文数がないと倉庫などには委託できないんですよ。安定した数の見込みを用意しなければ、交渉も難しいという感じです。現在は冷凍倉庫に依頼して、梱包・発送までやってもらっています。

――今後新たにやってみたいと考えていることは?

幸せのおすそ分けということで「恩送り」をテーマに、カード型のクーポンを発行したいなと。今もクチコミでhomealのことを伝えてくれる人は多いのですが、「クーポンがあるともっと周りに勧めやすい」という声が挙がってきたので。新規開拓するにしても、広告で無理矢理流入させるよりは本当に良い商品だと思ってもらう、そういう人に広めてもらうことのほうが効果が高いと思います。

あとは、これまでできていなかったメールマーケティングやコンテンツマーケティングに取り組みたいですね。サイトにユーザーのインタビューを載せたりブログを書いたりとか、幼児食に興味のある人が検索でたどり着きやすいコンテンツを作りたいと考えています。

多店舗展開は考えていないのですが、フラッグシップショップはできたら2年以内に開きたいです。カフェスペースや試食スペースに加えて、親子で楽しめるような空間があったらいいかな。これは次の次のぐらいの資金調達で実現させたいという目標で動いています。

子供の食事が、経済力に左右されない世界を作りたい

――コロナ禍での無償提供プログラムのお話がありましたが、新型コロナウイルスの流行はどんな影響がありましたか?

2020年開業なので以前との比較ができないのですが、少なくとも親御さん、特に男性が家にいる時間は増えたので、その影響はあると思います。homealの利用者は3割くらいがお父さんで、ほかの食卓支援サービスや宅配サービスと比較すると男性が多いんですよ。

僕が男性目線で作った商品というのもあるだろうけれど、在宅勤務のお父さんがこれを使ってくれてるんだろうなと思うと、それはすごくありがたいですね。やっぱり僕自身が一番欲しかったサービスだから、受け入れられていることが嬉しいというか。

――新型コロナウイルスの流行を受けて、何か戦略を変えたりはしなかったのでしょうか。

それはないです。homealのトップページで「Love your family」というコンセプトを謳っていますが、新型コロナウイルスとは関係なく、育休取得の義務化の流れなどでそこに回帰していくんだろうなと以前から思っていたので。

人生で何が大事かと問われたときに、結局それは身近な人、家族じゃないですか。家族との時間が増えれば、当然食事のシーンは欠かせないものになっていく。いずれ来ると考えていたそういう時代が、新型コロナウイルスの影響でちょっと早まったかな、というイメージです。

――最後に、幼児食への思いや今後の展望について教えてください。

最後のゴールとしてやりたいのは、幼児食のベーシックインカムみたいなシステムです。子供の食事が親の経済力に左右されるということは、本来あるべきじゃないと思っているので。6歳までに子供の脳の90%ができるのだったら、少なくともそれまでは食事に困らず栄養も不足しないという世界でないと公平なスタートが切れません。

前職で人材開発の仕事をやっていたときも、幼少時に愛情を受けたかどうかが人格形成に大きく影響しているなという印象がありました。そして食事も、親の愛情の一つです。

親もしくは育ててくれる人から最大級の愛を受け、栄養たっぷりの美味しい食事をとる。そういうファミリーが増えることが自分のできる社会貢献であり、今の事業を続けるうえでのモチベーションにもなります。

売上については、短期的にそこをどうしようかみたいな考えは一切ないです。もし売上や上場にこだわるんだったら、幼児食という商材は選びません。

幼児食は原価が高くて、投資家からも嫌われるんですよ(笑)。特にhomealは一般的な食品を上回る原価率なんで、広告費の余白がない。「原価を下げてマーケティングに使おう」みたいなことを言われたりもしますが、子供向け商品である以上品質を下げる意思決定は絶対にしないと決めています。

子供たちが愛情を受け、健やかに育つ。homealのユーザーの方は、そんな理想的な社会に近づくための仲間だと思っています。そういう方針は、これからもずっと変えずにやっていきたいです。

homeal株式会社
homealオンラインショップ
所在地:〒194-0212 東京都町田市小山町3068-1
従業員数:3

弥報編集部
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