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若手社員に仕事で大切な「優先順位の付け方」を教えよう

新人・若手社員に仕事を教えるうえで重要なのが「優先順位」の付け方です。今回は「手法を教える『末学』と目的を教える『本学』の違いを知り、社員教育に活かそう」でご説明したインバスケット教育の「本学」の観点から、新人に教えにくい仕事の優先順位の付け方を、どのように教えるべきかをお伝えします。

インバスケット……未決裁の書類の入った「未処理箱」の意。1950年代にアメリカ空軍で導入された能力測定ツール。疑似体験型トレーニングを通じて、自分の能力の強み・弱みを把握・分析できる。

執筆者:鳥原 隆志

株式会社インバスケット研究所代表取締役。インバスケット・コンサルタント。1972年、大阪府生まれ。大学卒業後、株式会社ダイエーに入社し、10店舗を統括する食品担当責任者として店長の指導や問題解決業務に努める。管理職昇進試験時にインバスケットに出会い、自己啓発としてインバスケット・トレーニングを開始。現在は執筆と講演・メディア出演など活躍中。日本で唯一のインバスケット教材開発会社として、株式会社インバスケット研究所設立。著書50冊以上。

「始まり」と「終わり」を意識させることで時間感覚が磨かれる

たくさんの仕事をこなすためには優先順位を付けることが重要ですが、新人・若手社員にいきなり「優先順位を付けろ!」と教えてはいけません。なぜなら、新人には優先順位を付けるスキルが足りないのと、立場的に自分で仕事の取捨選択ができないからです。

私も管理職層には優先順位の付け方を教えますが、新人には入社してから5年間は教えません。過去に、ある会社の新人研修で優先順位の付け方を伝えたところ、その会社の現場の上司からクレームが付いたことがあります。クレームの内容は「部下が指示を聞かなくなった」でした。よくよく聞くと、私の研修を受けた新人は自分が大事だと感じたことを優先し、上司の指示は大事ではないと判断したとのことです。それ以来、教え方を変えました。

しかし、仕事の進め方を教えなくていいというわけではありません。前回の記事「手法を教える『末学』と目的を教える『本学』の違いを知り、社員教育に活かそう」で「本学」と「末学」についてご説明したとおり、新人には「あれをしろ」「これをしろ」という「末学」的な教え方をするのではなく、インバスケット教育の基本「限られた時間で最大の結果を出す」ためにも「本学」を教えなければなりません。

多くの場合、この本学を教えると「最大の結果」を意識し始めます。ただし、一方で仕事を大量にこなせるようになるため、仕事を抱え込んでしまうリスクも生じます。

そこでまず大切なのが「始まり」と「終わり」の重要性について教えること。これが優先順位付けに必要な時間感覚を磨くための基礎です。だらだらと仕事をしたり、仕事にメリハリを付けられないのはこの時間感覚が足りないからです。

新人の多くは始まりには敏感ですが、終わりには鈍感です。だからこそ終わりを意識させることで、そこから逆算してやるべきことを考えることができるようになるのです。「あと3時間しかない。どれからやるべきだろう」と考えさせることが優先順位付けのベースとなります。

何が大事なのかを教えるには、理念教育に力を入れると効果的

上司:「メールは送ったのか?」
新人:「いえ、まだ送っていません」
上司:「何、どうしてだ?」
新人:「え、お客さまはそんなに急いでいないと書かれていたので……」
上司:「バカヤロウ!あのメールはすぐに返さないとだめだろう!」

このようなやりとりがよくあると思いますが、新人は混乱します。「どのメールをすぐに返すべきで、どのメールが後でいいのか」と。そして何でもかんでも「マニュアルが欲しい」などと言い出します。

これは何が大事なのかが教えられていないために起こる事態です。何が大事なのかを教えるのは「本学」で、どのメールが大事かを教えるのは「末学」です。何が大事かを教えれば上記のような混乱も勘違いも起こりませんし、今後のメールにも応用が利きます。また分厚く役に立たないマニュアルを使う必要もありません。

何が大事かを教えるのに効果的なのは、理念教育に力を入れることです。多くの会社で「経営方針」や「企業理念」が存在します。入社後にこれを暗記させるところがありますが、お勧めできない教え方です。逆に、多少の文言は違ってもその意味を理解させることが重要です。例えば企業理念とは、その組織で働く人すべてが大事にするべきものです。だからこそ、これを全従業員に理解させて実践させない手はありません。これを理解できれば、仕事の優先順位が付けやすくなるからです。

しかし、企業理念を浸透させるのは難しいと悩む経営者は多いもの。そこで、これを浸透させるには3つのやり方があります。

1.企業理念を咀嚼して伝えること

例えば「企業市民」という言葉をそのまま使うのではなく「利益を追求するだけではなく、その町の住人のように仲良くし、ごみが落ちていたら拾うなどの貢献をすること」とかみ砕いて説明します。これでも難しいようでしたら、相手の表情を見ながらレベルを落としていきます。相手が受け入れやすくし、理解してもらうのです。

2.理念は3つ程度に絞ること

ある企業の理念は15項目もありましたが、教育担当者でさえ手帳を見直さなければ内容を言えませんでした。人が覚えられるのは3つくらいです。当社も最初は7つありましたが、5つに絞り、現在は3つです。今では全従業員が覚えています。

.実践すること

経営者自身が現場で実践し、会議で理念の言葉を使うことで全従業員に落ちていきます。

「大事なこと」を理解すると、優先順位を付けられるようになる

私は学研の「保護者通信」にコラムを書いています。タイトルは「今日の大事を決めよう」です。

今の子供はやることがたくさんあります。それを見守る親御さんも「頑張って全部やるのよ」とエールを送ります。エールを送られれば、物理的に不可能な状況であっても、子供はすべてやりたくなりますよね。しかし、中途半端に終わってしまうことも多いはず。だからこそ「今日の大事」を決めていこうという内容です。

仕事も同じで「限られた時間で最大の結果を出す」には「すべてやろう」とは思わないことです。すべてやろうとすると、疲れる割にすべて中途半端な結果となります。私自身もその傾向があり、燃え尽きてしまうことがありました。しかし、インバスケットトレーニングを通して取捨選択を学び、今では「1日の仕事の中で精度を求める仕事は3つ」と決めています。この3つの仕事ができれば合格としています。

もっとも、新人にこれを話しても理解は難しいので、経営者の皆さんにやってほしいことはただ1つ。

「今日の大事な仕事は何があるの?」

そう聞いてもらうだけで十分です。この声掛けを継続することで、新人は「やるべきこと」を整理し、大事な仕事とそうでない仕事を分別するようになります。これが優先順位付けのセンスを高めるのです。

新人は仕事を抱えると忙しいと焦りますが、その割にはやらなければならない仕事をリスト化できていなかったりします。また「仕事がたくさんある」と誤解しているケースもあります。そこで「大事な仕事は何?」という声掛けは、仕事の整理と分別する力を育てるうえで大きな効果があります。

「優先順位を付ける」こととは「大事なことに力を注ぎ込む」ことです。二兎追うものは一兎も得ず、などのことわざも例に挙げながら、本学的な意味を教えてあげてください。

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鳥原 隆志(とりはら たかし)/ インバスケット・コンサルタント
著者:鳥原 隆志(とりはら たかし)/ インバスケット・コンサルタント
株式会社インバスケット研究所代表取締役。インバスケット・コンサルタント。1972年、大阪府生まれ。大学卒業後、株式会社ダイエーに入社、10店舗を統括する食品担当責任者として店長の指導や問題解決業務に努める。管理職昇進試験時にインバスケットに出合い、自己啓発としてインバスケット・トレーニングを開始。現在は執筆と講演・メディア出演など活躍中。日本で唯一のインバスケット教材開発会社として、株式会社インバスケット研究所設立。著書50冊以上。

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