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頼まれごとが多くて自分の仕事が進まない!【中小企業お悩み相談室Vol.1】

2017.05.09

著者:株式会社スコラ・コンサルト

著者:簔原 麻穂

頼まれごとが多くて自分の仕事が進まない!-中小企業お悩み相談室:女性担当者編①-

「中小企業お悩み相談室」では、中小企業や小規模事業者のような「小さな組織」によく見られる実際の悩み事をピックアップ。組織風土改革のパイオニアとして30年以上の実績をもつ「株式会社スコラ・コンサルト」が回答します。

第1回目は、バックオフィスで活躍するベテラン女性社員ならではの悩みについて回答します。同じ立場の方のみならず、中小企業の経営者の方も必見です。

Q.なんでもかんでも押し付けられて、つい周りに八つ当たり。どうしたらいいの?

私は今の会社で20年以上働いているのですが、最近仕事に追われすぎてやる気が起きません。周りの人たちの仕事のやり方にイライラするし、上司に対する不満も積もるばかり。自分がちゃんと評価されているのかどうかも分かりません。ついつい不機嫌になり周囲に当たってしまうことも。こんな状態から抜け出したいのですが、どうしたらいいでしょうか?

A.不機嫌になる理由とその意味を考えてみましょう

中小企業では、長年同じ職場で働いているベテランの女性社員が多くいらっしゃいます。基本の知識が豊富で処理能力も高く、困ったときやトラブル対応などにも臨機応変に対応し、日々の業務を上手に回す「頼もしい存在」です。しかし、一方では会社内で自分の存在価値が見いだしにくくなり、無自覚に「自分にしかできないやり方」で仕事を抱え込んでいないでしょうか。

業務フローやマニュアル、教育体制がない会社の場合には、仕事の流れやルールは担当する本人の頭の中にしかないため、常にその人に聞かないと仕事が進まない状態になっています。その結果、さまざまな問い合わせや作業が集中し、日々の仕事に忙殺されてめいっている方も多く見受けられます。

ご本人は日々の仕事の工夫や改善を自分なりに努力して行っているのですが、人や担当をまたぐ全体の流れの中では、自分自身が仕事を抱え込むことで知らず知らずのうちに業務の流れを止めるボトルネックになっているかもしれません。人間には感情があるので、不機嫌になることがあって当たり前です。しかし、もしも仕事のやり方によって不機嫌になっているとするなら、いったい何がそうさせているのか、どうしたらより気持ちよく明るく働けるようになるのかを、振り返って考えてみましょう。

【ケース1】仕事の工程管理やコントロールができず周りに振り回される

心当たりがありませんか?
  • 社員がルーズで、総務・経理への提出物の期限を守らないし、記載内容も不十分
  • 余裕をもって案内しているのに、現場は忙しいからと言い訳ばかり
  • こちらが月末忙しいことが分かっているのに、当たり前のように仕事を差し込んでくる

責任感のある人ほど「任された業務だし、きちんとやらないと」と頑張りがちです。突然振られた仕事であっても、不十分な書類であっても、心の中では不満に思いつつも自分で修正し、何とか時間内にやりくりしてミスなく堅実にこなそうとします。周りにとっては当たり前のように流れている仕事も、陰では担当者が毎日イレギュラー対応を行っている、ということがよくあります。

でも、人は自分で時間管理やコントロールができない状態が慢性化するとストレスがたまります。こうしてため込んだ不満の感情エネルギーは、抑えれば抑えるほど強くなり、言葉にしなくても態度に出てしまうものです。ついつい周りに当たってしまうのは、不満の感情を心のどこかで否定し、押さえつけている状態になっているからなのでしょう。

シワ寄せを抱える不満の対処法

不満は、自分の思いを分かってほしいという心のメッセージ。本来負の感情は、しっかり自分自身が受け止めると浄化されるのですが、それができない場合は、まず「誰かに話を聞いてもらう」のが第1ステップです。

①まずは【人=感情】に注目

仕事の直接的な利害関係がない人に、自分の不満や疑問などを受け止めて聞いてもらいましょう。ネガティブな面を否定したり、あるべき論を説いたりする相談ではなく、ただ聴いてもらうことが大切です。そのときは、相手の大切な時間を使うので感謝の気持ちを忘れずに。最初から解決策は考えず、とにかく出し切ることです。

②次に【コト=事実・実態】に注目

不満の原因や、不満の感情を起こしているコトに注目してみましょう。実際何が起こっていて、何に困っているのか、仕事の仕方や流れなどに目を向けます。自分が手を煩わされないためにはどうしたらいいか、仕事の見える化につなげながら考えて解決策を見つけていくとよいでしょう。

提出期限を守るルールや提出方法、書類をもれなく記載するにはどういった流れや仕組みをつくったらいいのかを考えることで、業務の改善につながることにもなります。

【ケース1】仕事の工程管理やコントロールができず周りに振り回される

【ケース2】現状を理解、改善しようとしてくれない上司や周囲への不満

心当たりがありませんか? 
  • 他部署から担当外の仕事が回ってくるので上司に相談をしたら、「みんな忙しいのだからそのくらい大目に見てやれ」と言う
  • 上司は周りにいい顔ばかりして余分な仕事を引き受けてしまい、いつも自分に丸投げ。結果的に自分の仕事が増えるばかり

総務や経理などは、きっちりとスケジュールや期限が決まっている日常業務のほかに、社員の困りごと解決や雑用的な仕事など、社員のお世話係のような仕事もたくさん舞い込んできます。担当があいまいな仕事が、業務をよく分かっている人や、あまり嫌がらずに引き受けてくれる人ばかりに集中すると、次第にイライラの原因になってきます。

最初は善意で自分が役立てるならと引き受けたつもりでも、徐々に周りがなんでもかんでも押し付けてきたり、ましてや上司はその環境を整えてくれることもなく悪化させたりするばかり。「いったい私のことをなんだと思っているの?」と憤る気持ちも分かります。

仕事を邪魔されるイライラの対処法

「きっとあの人がやってくれるだろう」と放置される仕事はたくさんあります。こうしたあいまいな仕事をあいまいなままにしておかないことが大切です。「忙しいし、面倒だからあの人に任せておけば大丈夫」と重宝がられることは、一見頼られているように見えますが、あなたが本来の仕事で価値を発揮する時間を奪ってしまうムダな仕事の仕方なのです。

①まずは【人=感情】に注目

人に頼まれても「断る」自分を許すこと。言われたことはやらないと相手に悪いと気を遣うのも分かりますが、なんでもかんでも抱え込むと心が折れてしまいます。自分1人で解決することが仕事の責任を果たすことだと思い込まず、他の部署にまたがる内容であれば、周りと相談しながら解決していきましょう。

②次に【コト=事実・実態】に注目

自分でなくてもやれる仕事や自部署で解決できる仕事であれば、ていねいに断りましょう。といっても突き放すのではなく、どのようにしていけばよいのかを一緒に考えてあげます。また、たとえ一度は引き取ったとしても、自分の手元にいつまでももっておかず、上司や仲間をうまく巻き込みながら、どの部署をどのように取り込めばスムーズに仕事が流れるか、簡単なルールなどで解決する方法を考えるとよいでしょう。

【ケース2】現状を理解、改善しようとしてくれない上司や周囲への不満

最後に

長い間、同じ顔ぶれの仲間と一緒に働いていると、職場の問題は見えにくくなり、お互いを思いやることも忘れてしまいがちです。だからこそ、時々、自分自身の感情と寄り添い、受け止め、時には信頼できる仲間と話すことで気持ちを整えてください。

気持ちが整えば、感情でゆがんだ目で物事を見るのではなく、事実・実態と向き合うことができ、仕事の仕方や仕組みを考え、解決につながるのです。

そのためにも、まずは自分からいつも一緒にいる仲間に対して感謝の言葉を口に出してみてください。「いつもありがとう」「いつも助かっているよ」それだけで自分も落ち着きを取り戻せ、やる気が湧き、救われることがあるのです。

この記事の著者

株式会社スコラ・コンサルト

組織風土改革のパイオニアとして企業・公的機関の支援に30年の実績をもち、実践を目的とした〈プロセスデザイン〉という独自の変革手法に特徴がある。「コンサルタントのいないコンサルティング会社」のスタンスを貫き、「プロセスデザイナー」が現地で現場の人たちと一緒に考える伴走型の支援を行う。本音でまじめな話ができる対話の場、職場や立場を離れてフラットな関係で行う「オフサイトミーティング」は、スコラ・コンサルトの代名詞になっている。

この記事の著者

簔原 麻穂(みのはら あさほ)

「株式会社スコラ・コンサルト」の組織変革プロセスデザイナー。国家資格キャリアコンサルタント、女性労働協会認定講師。経営層の参謀役育成やマネジメント改革、女性ならではの強みを仕事の成果につなげる支援を得意とする。

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