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経理・給与担当者必見!2020年は「年末調整」が変わります!経理業務への影響・対策は?

「平成30年度税制改正」により、2020年の年末調整から給与所得控除をはじめとする制度が見直されます。従来の年末調整とどこが変わったのか、また経理業務にはどのような影響があるのでしょうか。

そこで今回はペンデル税理士法人の早川広毅さんに、新しい制度の概要、具体的に控除の仕組みがどう変わったのか、さらに今後対応すべき電子申請への準備についてお話を伺いました。

ペンデル税理士法人 早川広毅 氏(業務効率化担当)

弥生会計を使った自動化・効率化を得意とする。現在は年末調整の業務効率化を研究中。会計税務の業務以外にも顧問先の生産性向上を支援し、喜んでもらえるよう日々活動している。

2020年度の年末調整からはじまる、新たな制度の変更点

――新制度の概要について教えてください。

「平成30年度税制改正」により、2020年度の年末調整から給与所得控除や基礎控除が見直されることになりました。

個人所得課税の制度は「1つの会社で定年まで勤め上げる」といったライフコースをもとに作られてきましたが、近年は働き方の多様化が進んでいます。このような時代の変化を受け「働き方改革」を推進する観点から改正が行われました。

控除額や申告書は変更されますが、給与収入が850万円以下の人はこの改正による税額への影響はありません。つまり「増税でも減税でもない」というわけです。一方、850万円を超える場合は増税となります。

――給与所得控除が引き下げとなるそうですね。

給与所得控除とは、所得税などを計算する際に年収から差し引かれる控除額のことです。2020年の年末調整からは、一律で10万円が引き下げられることになりました。

また、給与所得控除の上限額が220万円から195万円に引き下げられるため、年収が850万円を超える人は10万円以上の引き下げとなってしまいます。

――基礎控除はどうなるのでしょうか。

すべての納税者に適用される基礎控除の金額は、これまでは収入に関係なく一律38万円でした。

改正後は最大48万円に引き上げられますが、合計所得金額が2,400万円を超えると所得に応じて減っていきます。2,500万円超では控除額がゼロとなり、基礎控除は適用されません。

――子育てや介護中の方のための制度がつくられたそうですね。

給与所得控除の上限額が引き下げられたことにより、年収が850万円を超えると税金の負担が増えてしまいます。そこで子育て・介護中の人への配慮から、所得金額を調整するための制度として所得金額調整控除が創設されました。

年収850万円超で「本人が特別障害者」「23歳未満の扶養親族がいる」「特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる」のいずれかに該当する場合、(給与などの収入金額-850万円)×10%で算出された金額を調整額として控除します。

――寡婦(夫)控除についても教えてください。

これまで寡婦(夫)控除は、離婚や死別によって配偶者がいなくなった人に適用されており、「未婚のひとり親」との格差が生じていました。今回の改正では、婚姻歴の有無や性別にかかわらず、すべてのひとり親に対してひとり親控除が適用されます。

ひとり親控除の適用に伴い寡婦(夫)控除の見直しが行われ、「寡婦」の要件は「夫と死別または離婚していて子供以外の扶養親族がいる人」もしくは「夫と死別していて子供がいない人」となりました。今まで「特別寡婦」であった子供のいる寡婦は、ひとり親控除の範囲に内包されることになります。

控除額は、ひとり親控除が一律35万円・寡婦控除は一律27万円で、合計所得金額が500万円以下であることが要件です。

――配偶者・扶養親族などの控除はどのように変わりますか。

源泉控除対象配偶者、扶養親族・同一生計配偶者、勤労学生の所得金額要件が10万円ずつ引き上げられましたが、この変更は給与所得控除・基礎控除の見直しと所得金額調整控除の創設による適用範囲への影響に配慮したものです。

改正後も年収ベースでの変更はないので、控除のために就業調整を行っている場合もこれまでの出勤ペースで問題ありません。配偶者や扶養親族が給与所得以外の収入を得ている場合は、控除を適用するための所得制限額が10万円拡大されることになります。

――「住宅ローン減税」の控除期間が一時延長されるようですね。

「住宅ローン減税」とも呼ばれる住宅借入金等特別控除は、消費税引き上げへの対策として一時的に控除期間が10年から13年に延長されます。

この拡充措置を受けるためには、201910月1日から20201231日までに取得・リフォームした住宅に入居していることが条件です。

ただし、新型コロナウイルスの影響で入居が間に合わない場合、一定の期日までに契約が行われていれば入居期限が20211231日に延長されます。契約の期日は、注文住宅を新築する場合は2020930日、分譲住宅・既存住宅の取得やリフォームの場合は20201130日です。

――法定調書の提出基準に変更はありますか。

年末調整後に作成する源泉徴収票・支払調書などの法定調書は、種類ごとに前々年の提出枚数が1,000枚以上の場合、e-Taxや光ディスクでの提出義務がありました。20211月からは、枚数の基準が100枚以上に引き下げられます。

例えば、2019年に源泉徴収票を100枚以上提出していた場合、20211月以降は源泉徴収票をe-Taxなどで提出しなければなりません。なお提出義務の判定は支払調書の種類ごとに行うため、源泉徴収票は100枚でも支払調書は50枚だったというケースでは、源泉徴収票のみe-Taxなどでの提出が必須です。

スムーズな年末調整業務のために対応すべきこと

――給与業務で変更・追加しなければならない作業は何ですか?

制度改正により給与所得控除額が10万円引き下げられていますので、給与所得金額の計算が以前と異なることに注意しなくてはなりません。

また所得見積額は1年間の給与や、その他の所得額が確定する前に基礎控除申告書に記載しなければならないため、12月になって見積もりと大きく変わってしまうことも考えられます。そのため見積額と確定額の差を確認したり、場合によっては再申告・再計算を行ったりする必要があるでしょう。

合計所得金額が2,400万円~2,500万円周辺の従業員は基礎控除の金額に影響があり、注意が必要です。従前と同様に、配偶者控除・配偶者特別控除に影響する年収900万円~1,100万円周辺の従業員にも気を付けてください。

――改正の中で、特に給与業務への影響が大きいものはどれですか?

大きく変わったのは、年末調整の申告書が「給与所得者の基礎控除申告書」「給与所得者の配偶者控除等申告書」「所得金額調整控除申告書」の、3つの申告書が一体となった形式に変更されている点です。

経理担当者は新しい申告書の内容と記載の方法を理解し、それを従業員へ周知しなければなりません。従業員によっては記載の必要がない申告書があったり、あるいはすべてに記載しなくてはいけなかったり、個々の従業員に合わせたアナウンスが必要です。

また、所得金額調整控除申告書の計算においては、従業員の家族構成や扶養親族を確認する作業も発生します。

――従業員への周知のポイントや気を付けてもらうことは何ですか?

ポイントは「基礎控除申告書は基本的に全員が提出する」「年収850万円を超えそうな人に注意」という点です。

基礎控除申告書には、合計所得金額が2,500万円以下の人が記入する必要があり、給与額でいうと年収2,695万円以下の給与受給者が該当します。つまり、大部分の従業員は基礎控除申告書に記入しなければならないということです。

そして所得金額調整控除申告書には、年収850万円超で一定の要件を満たした人が記入する必要があります。年収は12月の給与・賞与を待たないとわからないことが多いため、850万円を超える可能性がありそうな人で、なおかつ23歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族がいる場合は、所得金額調整控除申告書を確認・記入してもらうよう周知しましょう。

――スムーズに年末調整を行うためのスケジュールを教えてください。

年末調整は下の図のように紙ベースで行うか、あるいは電子化するかによって異なります。

まずは紙ベースの場合、10月前半に対象者の確認や配付書類の準備、10月後半に対象者への書類配付と必要事項(改正事項)の周知、11月中旬に対象者からの書類回収、11月末日までに回収資料の確認や不足などの通知、12月に入ったら年間給与の確定と年末調整の計算、12月の給与支給日の数日前までに源泉徴収票の作成を完了、という流れがよいのではないでしょうか。

電子化する場合は9月前半に電子化の承認申請書を税務署へ提出、10月前半に電子化環境の整備、10月後半に周知し、11月中旬にデータ回収といったスケジュールを想定しています。この後は、紙ベースの場合と同じです。

将来的に義務化?年末調整の電子化に向けた準備

――いずれは中小企業も電子申告が義務化されるのでしょうか。

複雑化する年末調整業務は、企業や経理担当者の負担となっています。このため国は年末調整の電子化に向け、控除証明書のデータ取得などの施策を打ち出しました。

データでの申告書類と紙の申告書類とが混在する点に注意する必要がありますが、一部の従業員のみなど、部分的に電子化することも可能です。まずは申告書の入力から始めて、段階的に導入するのもよいでしょう。

電子化の流れは、やがて申告にも及ぶものと考えられます。大法人については、20204月より電子申告が義務化されました。財務省が「将来的に電子申告の義務化が実現されることを前提」とした基本計画を発表していることからも、いずれは中小企業にも電子申告が義務化される可能性が高いです。

 

【関連記事】

令和2年分「年末調整の各種申告書の書き方を教えます!」まとめ

【関連サイト】

特設サイト 年末調整あんしんガイド|弥生株式会社

年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)|国税庁

特設サイト 消費税改正あんしんガイド|弥生株式会社

弥生給与、やよいの給与計算で年末調整に対応しましょう|弥生株式会社

※本記事は、弥生のあんしん保守サポートベーシックプラン、またはトータルプランにご加入中のお客さまにお届けしている情報誌「弥報(やっほー)Magazine20207月号で掲載した内容の一部を再編集したものです。

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